インビザラインとワイヤーはどっちがおすすめ?仕上がり・費用・期間などを徹底比較
矯正治療を始めるにあたって、最初に迷うのがインビザライン矯正(マウスピース矯正)と、ワイヤー矯正のどちらにするかの選択ではないでしょうか。
昔はワイヤー矯正がほとんどでしたが、現在はインビザライン矯正の進化により、数多くの症例で、インビザライン矯正とワイヤー矯正での治療を選択できるようになってきました。
だからこそ、両者をしっかりと理解したうえで、治療方針を選択していくことが大切です。
この記事では、インビザライン矯正とワイヤー矯正について、違いなどを比較しながら解説いたします。
この記事を読むことで、インビザライン矯正とワイヤー矯正について理解が深まり、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解決!
- インビザライン矯正とワイヤー矯正では、どのような違いがあるの?
- 治療費はどのくらい違うの?
- 矯正期間はどのくらい違って、どっちが早く終わるの?
- 歯並びの仕上がりが綺麗なのはどっち?
目次
インビザラインとは
インビザラインとは、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発したマウスピース型矯正装置のことをいいます。
近年、格安マウスピース矯正などが多く出回っていますが、それらとは一線を画すもので、1997年から1300万件以上の治療実績を誇り、それらのデータに基づいて、現在も研究・開発に力が注がれています(2022.6月時点)。
また、歯の表面にアタッチメントと呼ばれる半透明~白色をした米粒大の突起をつけることによって、マウスピースのズレや浮き上がりを防止し、矯正力の方向及び強弱などを効果的にコントロールすることを可能にしました。
インビザラインのメリット
インビザラインには、ワイヤー矯正にはないさまざまなメリットがあります。
矯正装置が目立たない
インビザラインの一番のメリットといえば、やはり矯正装置が目立たないことです。アライナーと呼ばれる矯正用マウスピースは透明に近いので、対面で会話をしていても矯正中であることを気付かれないほどです。
また、歯の表面に設置するアタッチメントも半透明~歯冠色なので、さほど目立つこともありません。
自分で矯正装置の着脱ができる
矯正中で最も気になる日常生活といえば、食事と歯磨きの時間ではないでしょうか。
インビザラインの場合、食事と歯磨きの際にはマウスピースを外すことができます。
矯正中は、硬い食べ物を食べると歯に痛みが生じやすいので、何でも食べられるというわけにはいきませんが、ワイヤー矯正と比べると、食事制限は非常に少なくなります。
また、ワイヤー矯正と比較して歯磨きが格段にしやすく、フロスも通すことが出来るので、虫歯や歯周病のリスクを低くすることができます。
マウスピースも丸洗いすることができ、10日~2週間ごとに新しいものに交換するので非常に衛生的です。
痛みが少ない
矯正中の痛みの原因は2つあります。
1つは、歯が移動する際の痛みです。
インビザラインでは、マウスピースの復元力を利用して、弱い力で少しずつ歯を動かしていきます。そのため、歯にかかる負担が小さく、痛みが出にくくなります。
もう1つは、装置がお口の中を傷つけてしまうことによる痛みです。
インビザラインの場合は、全体的に丸みを帯びた構造で、歯肉に被ることもないので、痛みが出にくくなります。また、マウスピースの厚みもわずか0.5㎜なので、装着時の違和感も少ないです。
インビザラインのデメリット
インビザラインは取り外し可能な分、矯正装置の自己管理などの手間があります。
自己管理が必要
矯正装置の着脱が出来るということは、装置を自分で管理する必要があるということにもなります。紛失などには注意が必要です。
また、10日~2週間ごとに新しいマウスピースに交換するのも、自己管理となります。装置をつけ忘れてしまうと、計画通りに治療が進まない恐れがあります。スケジュール管理も必要となります。
自由に着脱できるとはいえ、1日20時間以上は装着する必要があります。自分の意思でマウスピースをしっかりと装着しないと、思うような結果が得られなくなってしまいます。
適応症例が限られる
インビザラインでは、適応症例を見極めることが重要です。
昔はごく軽度の歯列不正にしか適応されませんでしたが、アタッチメントを付与することによって、歯の傾きを調節するだけでなく、歯根からの歯の移動やひねりを加えた力をかけるといった、三次元的な歯の動きが可能となりました。そのため、インビザラインで治療できる症例が非常に幅広くなりました。
しかし、インビザラインでも適応は可能だが、どちらかというとワイヤー矯正のほうが向いているという症例も数多くあります。
このため、ワイヤー矯正である程度歯を動かしたのちに、インビザラインを用いるというコンビネーション治療(ハイブリッド治療)もあります。
適応症例に関しては、インビザライン及びワイヤー矯正、どちらの治療にも精通した歯科医師による判断が必須といえるでしょう。
インビザライン矯正ができない症例は?マウスピース矯正ができない人の特徴も解説
マウスピース装着時は、飲食ができない
マウスピースを装着している時に口にして良いものは、冷~常温の水のみです。熱い飲み物は、マウスピースの変形の危険性があります。また食べ物を食べる時は、ほんの少しであってもマウスピースを外さなければいけません。
食後は歯磨きおよびマウスピースの洗浄が必要になりますので、職業柄、頻繁に味見が必要な飲食業などの方には不向きかもしれません。
ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯面に装着し、間に通したワイヤーが元に戻ろうとする力を利用して歯を動かす矯正法です。
従来からある矯正治療で、歯列矯正というとワイヤー矯正を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
ワイヤー矯正のメリット
ワイヤー矯正の主なメリットは、さまざまな症例実績からくる適応の広さにあります。
症例数が豊富 実績が圧倒的に多い
ワイヤー矯正は1700年ごろから始まり、100年以上の歴史を誇ります。そのため、症例数も多く、多数の実績がある矯正法です。
どのような症例では、どのような治療を行うと良いのか、様々な方法が調べつくされていると言えます。
幅広い症例に適応される
多数の実績を誇るワイヤー矯正は適応症例が幅広く、重度の歯列不正で歯を動かす距離が長い症例などでも対応できます。
例えば、歯肉の中に埋まっている歯を口腔内に引き出してくることが出来るのも、ワイヤー矯正ならでは特徴です。
細部にわたる微調整が可能
ワイヤー矯正は、歯の傾きや向きを細かく調整する能力に長けており、全体の進行状況を見ながら細部にわたって歯並びを整えていくことができます。歯の大きな移動も、細かい微調整も、どちらも得意とする治療法なのです。
ワイヤー矯正は、手作業で行う部分が多く、その分、矯正医の技術力が必要とされます。症例数の多い歯科医師のもとでの治療がおすすめします。
自己管理が不要
装置の着脱が出来ないということは、自己管理が必要ないと言い換えることもできます。自分で何かしなくても、1か月に1度の通院さえ欠かさなければ、歯はどんどん動いていってくれます。
マウスピースを一度外すと再装着が面倒になってしまう方や、自ら矯正をしようという意思がまだ弱いお子さんなどには、自己管理の必要のないワイヤー矯正のほうが適しているといえるでしょう。
ワイヤー矯正のデメリット
ワイヤー矯正には、矯正装置が目立つといった審美面、口腔ケアのしづらさなどのデメリットがあります。
矯正装置が目立つ
ワイヤー矯正では、歯に固定式の装置を装着するため、どうしても見た目が気になりがちです。自分で着脱できないことも、デメリットといえるでしょう。
見た目が気になる場合は、審美ブラケットという透明や白色のブラケットなどを選択するということも可能です。また、歯の裏側に装置をつける舌側矯正という方法もありますが、どちらも通常の装置と比較すると治療費が高くなります。
食事、歯磨きがしにくい
ワイヤー矯正中は、どうしても食事に制限がでてきてしまいます。
繊維質の多い野菜などは装置に絡まってしまいがちなので、細かく切っておくなどの対策が必要です。粘着質の高いチーズやキャラメル、ガムなどは装置と歯の隙間に入り込んでしまうと取り除くのが大変なので、控えるようにします。
また矯正装置が入ったまま歯磨きを行う必要があるため、歯磨きに苦労される方は多いでしょう。装置と歯の間に汚れが残ったままになってしまうと、口臭・う蝕(齲蝕)・歯周病の原因となるため、時間をかけて丁寧に歯磨きを行う必要があります。
痛みが出やすい
特にワイヤーの調整を行った直後で、痛みを感じやすくなります。
多くの方が調整後2、3日目に最も痛みを強く感じ、その後1週間もすれば慣れてきます。また、矯正装置がお口の中に当たって、痛みを感じる場合も多くあります。
虫歯や歯周病のリスクが高い
歯磨きがしにくいことにより、虫歯や歯周病のリスクが高くなります。
これは、自宅での歯磨きの徹底および、定期的な歯科医院でのクリーニングで対処していく必要があります。
矯正期間の違い
矯正治療にかかる期間、および通院の頻度、一回の診察にかかる時間について比較してみます。
歯を動かす動的治療の期間は、症例によりますが全顎的な矯正ではインビザライン、ワイヤー矯正ともに1~3年程度です。その後、歯の位置が安定するまでの保定期間があります。
しかし、インビザラインは、歯列不正の強い症例(動的治療に時間がかかる症例)には不向きです。同じ症例で比較した場合は、一度に歯に加わる力が大きいワイヤー矯正のほうが、効率的に歯を動かすことが出来るため、矯正期間は短くなる可能性があります。
通院頻度の違い
通院の頻度は、インビザラインは1〜3か月に1回。ワイヤー矯正は1か月に1回。
インビザラインの場合は、お口の中及びマウスピースの状態のチェックが目的のため、診察にはあまり時間がかかりません。
ワイヤー矯正の場合は、前回からの歯の動き具合などを確認した上で、ワイヤーの交換や矯正力の調整などを行っていきます。全て手作業になりますので、一回の診察には時間がかかります。
結果、インビザラインの方が通院の手間は省かれることになります。
矯正費用の違い
全顎的な治療の場合、インビザラインは80~120万円程度、ワイヤー矯正は80~160万円程度が相場となります。
インビザラインの場合は、最初の治療計画の際に最終的な仕上がりの予測がつきやすいので、治療開始前に提示した期間や費用から大きく変動することはあまりありません。
ワイヤー矯正の場合は、勿論ある程度の予測のもとで治療を進めていきますが、歯の動き具合などによって治療回数が増減することがあります。そのため、重度の歯列不正であればあるほど、治療開始時の見積もりよりも、最終的には費用が多くかかる可能性があります。
仕上がりの違い
インビザラインとワイヤー矯正という方法の違いによって、仕上がりに違いが出ることはありません。
ここで重要なのは、治療方針を決定する前の診査の際に、どこまで歯並びを治すかを担当医としっかりと話し合い共有することです。
お口の中の状態によっては、「インビザラインならここまで治療可能」「ワイヤー矯正ならばここまで治療可能」と、治療方法によって最終的な歯並びに違いが出てくることもあります。歯を抜く、抜かないの選択によっても、仕上がりが大きく異なるのと同じです。
どこを治療の終着点にするのかを、事前に担当医としっかり共有しておくことが大切です。
【まとめ】インビザラインとワイヤーはどっちがおすすめ?仕上がり・費用・期間などを徹底比較
インビザラインとワイヤー矯正の違いについて解説しました。
この記事では、下記のようなことが分かったのではないでしょうか
ここがポイント!
- インビザラインのメリットには、矯正装置が目立たない、装置の着脱が可能、痛みが少ないなどがある
- インビザラインのデメリットには、矯正装置の自己管理が必要、適応症例が限られる、マウスピース装着時は飲食ができないなどがある
- ワイヤー矯正のメリットには、症例数、実績が豊富、ほとんどの症例に適応される、微調整が可能、自己管理が不要などがある
- ワイヤー矯正のデメリットには、装置が目立つ、食事、歯磨きがしにくい、痛みが出やすい、う蝕や歯周病のリスクが高いなどがある
- 矯正の期間は症例によっても異なるが、全顎的治療の場合はどちらも1~3年
- 同じ症例で比較すると、ワイヤー矯正のほうが治療期間が短いことが多い
- 通院頻度はインビザラインが1〜3か月に1回程度、ワイヤー矯正は1か月に1回程度で、診察にかかる時間はワイヤー矯正のほうが長くなる
- 矯正費用は、全顎的治療の場合、インビザラインが80~120万円程度、ワイヤー矯正が80~160万円程度だが、ワイヤー矯正の場合は歯の動き具合によっては治療回数が増減し、それに伴って最終的な費用が変わってくる可能性がある
- インビザラインとワイヤー矯正で仕上がりに違いが出ることはない
インビザラインとワイヤー矯正、どちらの治療法を選択するかを悩まれる方は多いかと思います。
大切なことは、インビザライン及びワイヤー矯正、両方に精通している歯科医師のもとで、現在のお口の中を正確に診断し、どちらの治療が適しているのかを判断していくことです。
ワイヤー矯正での治療が必要な症例に対して、無理にインビザラインで治療を行ったとしても、思い描いていた結果が得られないことは十分考えられます。
もちろん、インビザラインとワイヤー矯正、どちらでも対応可能な症例もありますので、その際は双方の治療のメリット・デメリットを考慮して、治療法の選択をされると良いでしょう。
東京歯並び矯正歯科では、インビザライン、ワイヤー矯正どちらの矯正治療も行える女性歯科医師が在籍しております。また治療実績も豊富ですので、患者様のニーズに合った治療方針を提案させていただきます。