インビザラインとは

インビザラインとは、従来のワイヤーによる歯列矯正と異なり、取り外しが可能なマウスピース装置による歯列矯正です。痛みや装着の違和感も少ないため、選択する患者様が増えてきている矯正法です。
マウスピースは、1日20時間程度装着することが推奨され、治療の進行に合わせて新しいものへと交換していきます。
デジタル診療技術の1つとして、治療前の状態から、治療完了後までを専用のシミュレーションソフトによりご確認いただけます。
インビザラインはこんな方におすすめ
- ワイヤーによる歯列矯正装置の装着を避けたい方
- 歯列矯正中も食事を楽しみたい方
- 歯列矯正中の虫歯リスクを軽減したい方
- 歯列矯正中の痛みが心配な方
- 金属アレルギーがある方
インビザラインの種類
インビザラインにもいくつかの種類があります。当院で提供している5つのプランについてご紹介いたします。
インビザライン・エクスプレス(i7:アイセブン)
インビザラインのパッケージのうち、もっとも軽度の症例を対象としています。
例えば、前歯の微細な段差や、3㎜程度の隙間、後戻りなどです。治療期間も3~4か月程度とインビザラインのプランの中で最短最安の設定ですが、適応となる症例が限られています。
インビザライン・Lite(ライト)
パッケージのネーミングの通り、前歯のみなど、軽めの症例に適したプランです。
1年未満の短期で治療が終了する症例を対象に、アライナーは14ステージまでの提供です。対象が限られますが、インビザラインの中で安価なパッケージになっています。
インビザライン・コンプリヘンシブ(Full:フル・Plus:プラス)
歯列全体を対象とした治療を想定したシステムで、マウスピースの枚数や治療期間が無制限になっています。
歯の移動が大きい場合など、難症例を対象としています。治療計画の変更にも柔軟に対応することができます。
インビザライン・ファースト(ティーン)
従来のインビザラインでは、成長段階にあるお子さまは対象外でしたが、こちらのパッケージは乳歯がすべて抜けていれば適用することができます。永久歯の萌出途中(生え変わり途中)でも可能です。
多感な時期にも、見た目を気にせずに歯列矯正を行うことができます。
インビザラインGo(ゴー)
主に前歯の部分矯正を対象としたパッケージですが、類似しているインビザライン・Lite(ライト)との相違点は、治療の適応の有無をスマホの専用アプリケーションにて即座に診断できる点です。
専用アプリケーションは、セミナーの受講を完了した歯科医師のみに使用が制限されています。
インビザラインのメリット
世界中で多くの実績を持つマウスピース矯正の代表ともいえるインビザラインには、従来のワイヤー矯正にはない様々なメリットがあります。
取り外しできる歯列矯正装置
マウスピースは、1日20時間以上の装着を推奨していますが、歯磨き、食事、会合などご自身のタイミングで取り外すことが可能です。
ワイヤー矯正は、来院しなければ、痛みや違和感があっても取り外しができない点と比べると、身体的負担が少ないことがメリットです。
食事は今まで通り
マウスピースを飲食の際に、取り外すことができます。
ワイヤー矯正では、ワイヤー装置に食渣が挟まるといった衛生面や審美性で問題がありました。マウスピース矯正であれば、取り外すことで、口腔内を衛生的に保つことができ、口臭の対策も行うことができます。
隅々までブラッシングができる
マウスピース矯正では、装置を取り外すことができるため、歯列矯正治療を開始する前と変わらずにブラッシングを行うことができます。
ワイヤー矯正では、装置の隙間に食渣やプラークがたまりやすく、虫歯や歯周病、口臭の原因になるリスクがありました。
歯列矯正中とは気づかれにくい
マウスピース矯正で使用される装置は、薄く透明で目立ちづらい仕様になっています。そのため、ほとんどの場合、対面であっても、じっくり見ない限り装着していることに気が付きません。
発音や嚥下など、日常の動作を行っても違和感なく過ごすことができます。
歯の移動の痛みが少ない
従来のワイヤー矯正では、調整当日や翌日をピークに歯の移動に伴う痛みが発生していました。
マウスピース矯正であれば、痛みが強い場合には、ご自身で装置を取り外すことができるという安心感があります。
インビザラインのデメリット
インビザラインはメリットが様々あることは知られていますが、反対にどういったデメリットに注意するべきかを理解して治療を選択することが大切です。
装着が自己管理
マウスピースの装着は1日20時間以上、食事や歯磨き以外のタイミングはすべて装着することが理想的です。しかし、指示されたマウスピースの装着や交換を正しく行わないと、シミュレーション通りの治療結果とならないことがあります。
マウスピースの装着時間を守ることは、インビザライン矯正で失敗しないための大きなポイントです。
マウスピースの破損
マウスピースは、熱に弱いです。例えば、消毒を目的に熱湯をかけると変形してしまいます。
マウスピースのお渡し時に、クリーニング方法や、装着していない際の保管方法についての指示があるので、守るようにしましょう。
マウスピースの紛失
外食や外泊の際に、起こりやすい事ですが、マウスピースを紛失してしまうと、装着のスケジュールが崩れるため、治療効果に影響を及ぼすことがあります。
外出先でマウスピースを取り外す場合には、専用のケースに収納することで防止することができます。
対象症例が限られる
マウスピース矯正は、症例が限られています。
例えば、上下の顎のバランス、位置関係による歯列不正は、マウスピースのみでは改善することができません。また、ワイヤー矯正と比べて、治療できる範囲が限定的であるといえます。
インビザドクターが少ない
米国のアライン・テクノロジー社が提供するインビザライン矯正は、一定基準を満たした歯科医師がセミナーを受講でき、アライン・テクノロジー社から認められたインビザドクターから提供される矯正治療です。
すべての歯科医師や、矯正歯科医師の大半が提供できる治療ではありません。導入している歯科医院が増加していますが、現状、まだ都市部に限定されています。
インビザライン矯正の流れ
インビザライン矯正の治療は、来院時に行うことと、ご自宅で患者様ご自身が行うことの2つのフェーズがあります。歯科医師の指示のもと、装着の時間や交換スケジュールを守って治療を進めていくことが大切です。
01
カウンセリング
まずは、歯並びのお悩みを伺います。治療に関するご希望などを聴取し、マウスピース矯正の特徴についてご説明いたします。
02
精密検査
レントゲンや歯周病の状態、口腔内写真の撮影といった検査にて、歯列のデータを取得します。
03
シミュレーションの実施
データを基に、専用のソフトウェアにて、治療完了時までのシミュレーションを実施します。その後、アライン・テクノロジー社へデータを送り、マウスピースを製作します。
04
マウスピースの装着・交換
担当医から装着や交換時期の指示を受けます。スケジュールに沿って、ご自身で装着や清掃の管理をしていただきます。定期的な通院により、治療効果を確認します。
05
保定
治療が完了し、理想的な歯並びを獲得したら、後戻りを防止するために一定期間保定を行うことをお勧めしています。
インビザラインの料金・費用
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格(税込) |
---|---|---|
インビザライン | 軽度の歯列不正:i7(アイセブン) / エクスプレス / 片顎 | 330,000円 |
比較的軽度の歯列不正:Lite(ライト) / 片顎 | 495,000円 | |
中等度(標準的)の歯列不正:Full(フル) / コンプリヘンシブ / 上下顎 | 935,000円 | |
重度(抜歯ケース):Plus(プラス) / コンプリヘンシブ / 上下顎 | 1,045,000円 | |
精密検査・クリンチェック | 55,000円 | |
インビザラインGo(ゴー) | 片顎 | 330,000円 |
上下顎 | 412,500円 | |
精密検査 | 無料 | |
クリンチェック | 55,000円 | |
インビザライン・ファースト (ティーン) | Ⅰ期治療:ファースト / 上下顎 | 825,000円 |
Ⅱ期治療:コンプリヘンシブフェーズ2 / 上下顎 | 825,000円 | |
精密検査・クリンチェック | 55,000円 | |
リテーナー | – | 55,000円 |
毎回の診察料 | – | 5,500円 |
インビザラインのよくある質問
インビザラインのマウスピースを付けたままスポーツをしても大丈夫ですか?
インビザラインのマウスピースはソフトタイプのため、スポーツによりケガをすることがありません。
ワイヤー矯正の場合、唇の裏に針金が刺さるといった注意が必要ですが、マウスピース矯正では、装置にわずらわされることなく、スポーツを楽しむことができます。
マウスピースは、飲み物を飲む際にも取り外した方がよいですか?
マウスピースはお食事の際には取り外してください。
飲み物については、お水以外は取り外すことをおすすめします。特にコーヒーやお茶、ワインといった着色が起こりやすい飲料は、マウスピースの変色のリスクがあります。
また、ジュースやスポーツドリンク、お酒のような糖分の高い飲み物は、マウスピースに雑菌が繁殖しやすくなってしまいます。
嘔吐反射が強いといわれました。マウスピースの装着は可能でしょうか?
嘔吐反射が強く、歯科医院での治療が困難な方はたまにいらっしゃいます。
トレーの素材は、従来のナイトガードやホワイトニングで仕様するトレーよりも薄く、軽く、装着もぴったりで最小限の歯の部分までしか覆わない設計です。
それでも異物をお口に入れることが困難な場合は、最初は数分、数十分、数時間と短い時間から装着することを慣らしていきます。治療の開始は遅れますが、長い治療期間つきあっていく装置ですので、最初に無理せず慣れる事が大切です。
また、歯型採りの時間は片顎5分程度で終わりますが、この時も違和感がお強く嘔吐反射が起こりやすい方はおられます。その場合は、嘔吐反射の起きてしまう咽頭部分に、塗るタイプの麻酔やスプレー麻酔を使用して粘膜を鈍らせてから行ったり、水平に寝た状態だと唾液や歯型採りの粘土の材料が喉に流れやすいので、頭の位置や態勢をできるだけ垂直に、またはやや前かがみに行うことで、ほとんどの物理的な嘔吐反射は防げます。
心配な場合には、カウンセリング時にご相談ください。
マウスピース矯正なら歯周病があっても治療できますか?
歯周病があることで、歯の移動がうまくいかないことや、後戻りが起こりやすいといったデメリットがあります。歯周病の状態にもよるため、カウンセリング時や検査の際に、歯科医師がマウスピース矯正の適応の可否を診断します。
矯正に限らず、歯周病は状態をコントロールすることが大切ですので、お気軽にご相談ください。
インビザライン矯正は医療費控除の対象になりますか?
国税庁が医療費控除の対象について公表しています。これによりますと、噛み合わせや発音を良くする目的で行われた矯正治療は医療費控除の対象となります。一方、見た目を良くする、すなわち美容を目的とした矯正治療は医療費控除が認められていません。
インビザラインの治療概要
治療方法 | インビザライン |
---|---|
治療説明 | アライン・テクノロジー社の開発したマウスピース矯正です。コンピュータによる歯列移動のシミュレーションに特徴があります。 |
治療費 | 330,000円〜1,045,000円(税込) |
治療の副作用(リスク) |
・治療の効果がマウスピースの装着時間に依存する ・定期的にマウスピースを交換しなければ効果が得られない ・マウスピースの紛失や破損のリスク ・治療後の後戻りのリスク |
適応症例 |
・永久歯列の不正咬合 ・上顎前突症 ・下顎前突症 ・叢生 ・開咬 ・空隙歯列 ・過蓋咬合 ・交叉咬合 |
ダウンタイム | なし |
不適応の症例 |
・顎変形症 ・唇顎口蓋裂 ・混合歯列期の不正咬合 ・乳歯列期の不正咬合 |