インビザラインで噛み合わせに違和感が出る原因と調整
「インビザラインで治療したら、嚙み合わせが合わなくなった」
そんな話を聞いたことはありませんか。
中には「インビザラインでは噛み合わせが悪くなる」と思い込んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このコラムでは、インビザライン矯正中の噛み合わせの変化について解説します。
このコラムを読むことで、インビザラインで噛み合わせに違和感が出る原因とその対処法を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解決！
- インビザラインで噛み合わせは治せるの？
- インビザラインで噛み合わせに違和感が出るのはなぜ？
- 奥歯の噛み合わせがずれたら、どうやって治すの？
目次
正しい噛み合わせについて
まず、正しい噛み合わせとは何なのか理解しましょう。
正しい噛み合わせとは、下記のような状態をいいます。
- 歯並びの真ん中が上下で一致している
- 上の歯が、下の歯よりも少し前、（奥歯は少し頬側）に出ている
- 上の前歯の先端が、下の前歯に2～3㎜被っている
- 奥歯が両側でバランスよく嚙み合っている
噛み合わせが悪いと、以下のような困ったことがでてきます。
- 顎の関節に負担がかかることによる「顎関節症」
- 顎顔面周囲の筋肉に負担がかかることによる「頭痛・肩こり・血行不良」
- 歯に負担がかかることによる「虫歯や歯周病リスクの増大、咬耗、破折」
インビザラインで噛み合わせに違和感が出る原因
インビザライン矯正において、噛み合わせに違和感が出る原因には、大きく4つに分けられます。
マウスピースを正しく装着できていない
インビザラインのマウスピースは、1日20～22時間以上装着する必要があります。これよりマウスピースの装着時間が短いと、治療計画通りに歯が移動することが出来ない、後戻りをするなどの可能性がでてきます。
また、マウスピースが口腔内にしっかり装着出来ておらず、一部分浮いていたり、ずれてしまったりすると、矯正力が正しく歯に伝わらず、計画通りに歯が動かないばかりか、全体的にずれていってしまう可能性もあります。
マウスピースが変形・破損している
マウスピースは熱などで変形する恐れがあります。また、マウスピースをつけたまま食事をしたり、無理な取り外しをしたり、装着する際に上下の歯で噛んで装着するなど、乱雑に扱ってしまうと破損してしまうことがあります。
マウスピースは精密に出来ているため、一部分でも変形・破損してしまうと、歯列にはまらなくなってしまい、正しく歯が動かなくなる恐れがあります。
歯ぎしり・食いしばりの癖がある
マウスピースをしたままの状態で食いしばりをしてしまうと、奥歯を歯槽骨の方向に押し下げる強い力が加わってしまうため、予定されていた位置よりも歯槽骨の方向に歯が沈んでしまう可能性があります。
また歯ぎしり・食いしばりによって、マウスピースの変形や破損の危険性も高まります。
治療過程に生じるもの
矯正治療中、最終的な位置まで歯を動かしている途中では、上下の歯がお互いに理想に位置まで移動していないために、一時的に噛み合わない時期が出来てくることがよくあります。この場合は、歯が移動していくうちに、理想的な噛み合わせになっていくので問題ありません。
また、一日20～22時間のマウスピース装着時は、上下の歯と歯の間にマウスピース2枚分の厚みが挟み込まれるため、上下の歯は噛み合って（当たって）いないことになります。このためマウスピースを外した直後は、噛み合わせに違和感を覚えやすくなります。
このように違和感程度の場合もありますが、歯の位置がシミュレーションよりも歯槽骨方向に沈んだ位置に移動してしまっていることも、マウスピース矯正で起きる可能性があります。
また上の歯並びだけ、もしくは下の歯並びだけでみた場合は、シミュレーション通りの位置に移動していても、上下で咬んでみると、噛み合わせがしっかりと合わないこともマウスピース矯正の特性上、どうしても起こりやすくなります。その場合は、マウスピースを用いた矯正治療終了後に、噛み合わせの調整を行っていくことになります。
インビザラインで噛み合わせに違和感が出た場合の対処法
噛み合わせに違和感が出た場合の対処法を、原因別にみていきます。
マウスピースを正しく装着できていない場合
担当医の指示通り、最低でも1日20～22時間しっかり装着することです。
そして、マウスピースを装着する際には、アライナーチューイを使用し、マウスピースが奥までしっかりと入ったことを確認する習慣をつけましょう。マウスピースをはめてみて、いつもと違う感覚がある場合は一旦マウスピースを外して、出来れば鏡の前で確認しながら装着し直すようにしましょう。
マウスピースの変形・破損
マウスピースの変形・破損に気が付いたら、出来るだけ早く担当医に相談しましょう。
次のマウスピースへの交換時期が近い場合は、状態によっては調整を行ったうえで、次のマウスピースに交換する時期まで使用する可能性もあります。
マウスピースの状態によっては、作り直しが必要なこともあります。
歯ぎしり・食いしばり癖
歯ぎしり・食いしばり癖がある方は、インビザラインよりもワイヤー矯正のほうが向いていることもあります。
歯ぎしり・食いしばり癖は、口腔内の診査で判明することも多くあります。口腔習癖のある方は、矯正治療前によく相談することが大切です。
治療過程に生じるもの
マウスピースを外した直後の噛み合わせの違和感に関しては、マウスピースを外した状態でしばらく経つと気にならなくなってきます。
マウスピースの厚みのために奥歯が歯槽骨の方向に沈んでしまった場合は、マウスピースの奥歯の噛み合う部分を薄く調整したり、マウスピースの装着時間を減らすことによって上下の歯が自然にしっくりと噛みあう位置に移動し、馴染んでいくのを待っていったりします。
これをセトリングといいます。セトリングは、ワイヤー矯正後の微細な噛み合わせの調整などにも使われます。
セトリングでは、リカバリーできないような噛み合わせのズレが生じる場合も考えられます。その場合はアタッチメントの付け替えを行ったり、顎間ゴムという専用の小さな輪ゴムを装着したりして、噛み合わせの調整を行っていきます。
部分的にワイヤー矯正を行っていく場合などもあります。噛み合わせの状態によって異なりますので、担当医と相談していくようにしましょう。
【まとめ】インビザラインで噛み合わせに違和感が出る原因と調整
このコラムでは。インビザラインで噛み合わせに違和感が出る原因とその対処法について解説しました。
このコラムでは、下記のようなことがわかったのではないでしょうか。
ここがポイント！
- マウスピースを正しく装着出来ていないために噛み合わせに違和感が生じている場合は、装着時間を守り、装着の際にアライナーチューイを使用してマウスピースを歯列にしっかりとはめ込むようにする
- マウスピースの変形、破損が認められた場合、すぐ担当医に連絡し、対処方法を検討する
- 歯ぎしり、食いしばり癖は、マウスピースの変形・破損につながりやすいばかりか、歯が歯槽骨方向に沈んでしまう可能性があるので注意が必要である
- マウスピースを外した直後の噛み合わせの違和感は、比較的すぐに回復する
- 歯が動いている際は一時的に上下の歯が噛み合わないこともあるが、治療が進むにつれて改善されていく
- マウスピース矯正では、奥歯がシミュレーションよりも歯槽骨方向に沈んだ位置に移動してしまうことがよくある。その場合は、歯の動的治療後にマウスピースの厚みを調整する、マウスピースの装着時間を減らして上下の噛み合わせを回復させるセトリングを行う
- セトリングではリカバリーできない程度の噛み合わせのズレが生じた場合は、アタッチメントの付け替えや顎間ゴムの使用、ワイヤー矯正の併用などを行い、噛み合わせを調節していく
「インビザライン矯正では、噛み合わせは改善されない」と言われるゆえんは、マウスピース矯正の審美性の高さからきているのかもしれません。「見た目を良くするだけの治療でしょ」と、思われてしまうこともあるようです。
しかし、実際はそんなことはありません。
インビザラインは、審美的でありつつも見た目だけではない、機能的な歯並びや咬み合わせへの改善を実現することが出来る歯列矯正です。
東京歯並び矯正歯科では、インビザライン専門医が常勤しているため、矯正治療中に噛み合わせの違和感を感じた場合、すぐに担当医へご相談いただける体制を整えておりますのでご安心ください。
