インビザラインとキレイラインの違いは?マウスピース矯正の正しい選び方
「歯並びを治したい!」と思いつつも、「矯正中の見た目がやっぱり気になる」「高額な治療費が心配」「ずっとお口の中に矯正装置が入っているのは不快だな・・・」と、なかなか矯正治療に踏み出せない方も多いのではないでしょうか。
そんな方におすすめなのが、マウスピース矯正です。
しかし、マウスピース矯正には様々な種類があり、金額も治療期間も大きく異なるので、どのように選ぶべきか迷ってしまいますね。
このコラムでは、代表的なマウスピース矯正であるインビザラインと、手軽に始められると話題のキレイラインについて解説します。
このコラムを読むことで、インビザラインとキレイラインの特徴や違いを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解決!
- インビザラインとキレイラインの違いは?
- 費用や治療期間はどの位違うの?
- 何を基準に選んだら良いの?
目次
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正とは、アライナーと呼ばれる透明なマウスピースを用いた矯正治療のことをいいます。
マウスピースを装着している状態でも目立たず、矯正していることがわからないほど審美性に優れています。また、ワイヤー矯正と比較して痛みが少ないとされていて、食事や歯磨きの際には自分で外すことが出来るため、装置のわずらわしさが非常に少ない矯正治療です。
インビザラインとは
インビザラインとは、アメリカのアライン・テクノロジー社が開発したマウスピース型矯正装置で、世界中で1300万件以上の治療実績を誇ります。
骨の位置や形を外科的に矯正する骨格性の矯正以外のほぼ全ての症例を適応とし、奥歯を後ろに移動することも可能で抜歯が必要な症例にも適応しています。
インビザラインの中には、全顎的な矯正や重度の歯列不正にも適応したインビザライン・コンプリヘンシブ、前歯~奥歯までの比較的軽度な歯列不正に適したインビザライン・ライトなど、様々な種類があります。
キレイラインとは
キレイラインとは、前歯の部分的な矯正のみに特化したマウスピース矯正で、軽度の空隙歯列(すきっ歯)、叢生(ガタガタな状態の歯列)、歯のねじれ(捻転歯)、上顎前突(出っ歯)などが適応となります。また、矯正治療後の前歯の後戻りの治療に使用することもあります。
一番目につきやすく、気になりやすい上下6本ずつの前歯12本が矯正範囲で、奥歯は適応外となります。
咬み合わせの改善など、機能面を整える矯正治療というより、どちらかというと見た目を改善することを目的としています。また、治療回数は自分で決めるというのも、キレイラインの特徴の1つです。自分が満足した時点で、治療を終了することができます。そのため、矯正治療にかかる料金や期間は、自身の希望する治療回数によって決まっていきます。
費用・支払い方法の違い
インビザラインとキレイラインとでは、治療費用や支払い方法に大きな違いがあります。
インビザラインの場合
インビザラインの場合、治療開始前に治療費を支払う必要があります。歯科医院によりますが、クレジットカードやデンタルローンなどで分割払いも可能です。
インビザライン・コンプリヘンシブの場合、費用は80~100万円程度が相場です。マウスピースの枚数に上限はなく、治療終了後でも、5年以内ならばマウスピースを追加で製作することができます。
インビザライン・ライトの場合は、費用は50万円程度が相場です。マウスピースの枚数は最大14枚と制限があります。
インビザラインの場合、様々なプランが用意されていて、費用は歯列不正の度合いや治療内容によって決定していき、治療開始前に治療総額を知ることができます。治療費はインビザラインの種類だけではなく、症例によっても異なりますので、しっかりと確認していくことをおすすめします。また、来院時にクリーニング等を行っていく場合は、別途料金が発生してくることがあります。
キレイラインの場合
キレイラインは、前歯のみに治療範囲を絞ることや期間を自分で設定できることで、費用を抑えて手軽に始められる矯正治療を実現しました。都度払いとコース契約という2つの支払い方法があります。
都度払いの場合、初回治療費として22,000円(税込)。2回目以降は再診料プラス55,000円(税込)を来院した際にその都度支払います。本人が満足した時点で治療終了となります。また、再診料は歯科医院によって変わってきます。
コース契約の場合、各コースの総額を事前にまとめて支払います。
- 4回コース:176,000円(税込)
- 7回コース:319,000円(税込)
- 10回コース:462,000円(税込)
来院時は、再診料のみとなります。
コースの場合でも、途中解約には出来るだけ応じるようにはなっていますが、マウスピースの型取りを行った分は返金されませんので注意が必要です。
キレイラインの場合、治療を進めていくなかで歯列を横に広げる拡大床や抜歯、歯の側面を少しずつ削って歯を並べるスペースを作るIPRという処置が必要になる場合があります。その場合、治療途中で別途費用が発生します。
拡大床は、片顎44,000円(税込)かかります。抜歯やIPRの費用は歯科医院によって異なります。
歯科医院によっては、抜歯やIPRに対応出来ない場合もあります。
キレイラインでは、インビザラインと比べて初期費用は安くなりますが、治療終了までにいくらかかるのかの試算が出来ないことや、治療期間が長くなったり、途中で拡大床やIPRなどが必要となったりした場合は、思っていたよりも治療費が高くなる可能性があるので注意が必要です。
マウスピースの違い
インビザライン、キレイライン共に、審美性の高い透明なマウスピースを用います。
インビザラインの場合
インビザラインでは、治療開始前の精密検査の際に歯型を採ります。
従来のような印象材は用いるケースもありますが、iTeroというインビザライン専用の3D口腔内スキャナーを用いることによって患者さんの負担を軽くし、変形の少ない、精密な歯型採得を行うことを可能としました。
歯型を取るのは基本的にはこの1回のみで、その歯型データをアライン・テクノロジー社に送り、1300万件以上の治療データを内蔵した3D治療計画ソフトウェアによって解析を行い、矯正治療の治療計画およびシミュレーションを作製します。
担当ドクターはその治療計画をチェックし、修正を行ったうえで患者さんと治療開始から完了までの歯の動きや歯並びの変化をパソコン上で確認し、歯並びの最終的なゴールの設定や治療期間などについて決定していきます。
クリンチェックとは?インビザライン矯正前と最中におけるシミュレーションの役割
こうして完成した治療計画のデータをアライン・テクノロジー社に送り、専用の工場にて治療開始から完了までの全てのマウスピースを一度に作製します。出来上がったマウスピースを1日20~22時間以上装着し、2週間ごとに新しいものに交換していきます。
このように膨大な症例データ及びドクターのチェックによって、高度な矯正治療を実現し、マウスピースにおいてもアライン・テクノロジー社にて一括で作製することによって、クオリティの高いマウスピースを安定供給することを可能としました。
実際、インビザラインのマウスピースはなだらかな曲線で出来ており、歯肉を覆うこともないので装着感が良いといわれます。
欠点としては、アメリカと日本間に物理的な距離があるため、紛失や破損といった理由での再作製には時間がかかることが挙げられます。
また、歯の表面にアタッチメントという透明~乳白色の米粒大の突起を付けることにより、マウスピースの浮き上がりを防止し、なおかつ精密な歯の移動を短期間で効率的に行うことが出来るというのも、インビザラインの特徴のひとつです。
キレイラインの場合
キレイラインでは、新しいマウスピースを作製するたびに、歯型を採ります。コースの場合は、数回分まとめてとります。その場合、歯型を採取した分の料金は、途中解約の際に返金されませんので注意が必要です。
歯型採得したものをもとに、歯科技工士がハードとソフトの2種類のマウスピースを作製し、1日20時間以上、3週間ずつ交互に装着します。
マウスピースは、インビザラインとは違い歯肉を一部覆う形となります。また、キレイラインでは、矯正用のマウスピースを用いてホワイトニングを行うことができるとされています。
インビザラインの場合は、歯の表面にアタッチメントを付与していない時期であれば、ホワイトニングを行うことが可能です。
治療期間、通院頻度の違い
インビザラインとキレイラインでは、治療期間や通院頻度にも違いが出てきます。
インビザラインの場合
インビザライン・コンプリヘンシブの場合、重度の歯列不正や全顎的に大きく歯を移動させる症例が多いので、治療期間は1年半~3年程度かかります。比較的軽度の症例で用いるインビザライン・ライトの場合は、7か月程度となります。
最初のクリンチェックと呼ばれるシミュレーションの際に、自身の治療期間について知ることができるのというもインビザラインの特徴の1つです。
通院頻度は1~3か月に1度で、治療の進み具合によって変化していきます。
インビザライン矯正の平均的な期間と短縮する方法と長引くケース
キレイラインの場合
キレイラインの場合、治療期間は自分で決めます。
3か月でやめることも出来れば、ご自身が満足するまで続けることも可能です。
適応症例が前歯部に限局した軽度の歯列不正であるため、定期的に通院した場合の目安としては5か月~1年3か月程度のことが多いようです。
通院頻度は、都度払いの場合は1か月半(45日)に2度とされており、コース払いの場合は、3か月に2度となります。
選び方のポイント
インビザラインとキレイライン、どちらにしようか迷った時には、どのように選んでいけば良いのかを見ていきましょう。
症例によってインビザラインとキレイラインでは、適応症例が大きく異なります。
キレイラインの適応範囲
キレイラインの適応症例は、上下6本ずつの前歯12本の軽度な歯列不正の症例となります。前歯の歯と歯の間の軽度な隙間が気になる場合や、矯正後の前歯部に限局した軽度な後戻りなどに適しているといえます。
前歯のみに限局した歯列不正であったとしても、歯が並ぶスペースが足りない場合や治療の難易度が高い場合は、キレイラインでは対応しきれないこともあります。
犬歯より後ろの奥歯の歯並びも同時に治療していく必要がある場合や、噛み合わせを改善したい場合、全顎的な矯正治療を希望している場合は、インビザラインを選択することになります。また、噛み合わせに問題があるために前歯部の歯列不正が生じていることもあります。
原因を改善しなければ、せっかく矯正治療を行っても、いずれ後戻りしてしまうので、自分が気になっている部分をまずはご自身の中で明確にし、その点を踏まえて歯科医師に相談することをおすすめします。
インビザラインの適応範囲
インビザラインの場合は、ご自身が気になっている部位をドクターに伝え、その部位の歯並びの改善に必要な治療範囲を予測したうえで、どのプランを用いていくのかを歯科医師と決めていくことになります。
軽度かつ部分的な歯列不正であれば、インビザライン・ライトから検討していくこともできます。全額的な改善が必要な場合は、インビザライン・コンプリヘンシブを選択していくことになります。
御自身が気になるところと、医学的な歯列不正の範囲を併せて治療の計画を立てていくことができます。
インビザライン矯正ができない症例は?マウスピース矯正ができない人の特徴も解説
考え方によって
経済的な余裕があって「いきなり全顎的な矯正治療に踏み切るのは自信がないので、一度マウスピース矯正を試してみたい!」という気持ちであれば、キレイラインは最適かもしれません。また、「自分のタイミングで治療を終わらせたい」という場合も、キレイラインは適しているといえるでしょう。
しかし、「余計な費用はかけたくない」「矯正治療によって、歯並びがどこまで改善するのか確認したい」「理想の歯並びまで、どの位の期間や費用がかかるのか、あらかじめ知っておきたい」といった場合は、インビザラインがおすすめです。
インビザラインでは、シミュレーションによって治療前から治療のゴールまでの歯の動きと歯並び、治療期間などを確認することができます。また、IPRや抜歯の必要性なども踏まえたうえでの治療計画を立てていくことができます。
キレイラインの場合は、最終的なゴールを自分で設定することができますが、それは「自分で決断しなければならない」と言い換えることもできます。
インビザラインの場合は、「歯科医師が決めたゴールに従わなければならない・・・」ということではなく、シミュレーションを通して患者さんと歯科医師が一緒にゴールを決定していくことができます。その際、ドクターの知識や経験、およびインビザラインにおける膨大な治療症例データをフル活用することができるという点は、大きな利点ということができるでしょう。
【まとめ】インビザラインとキレイラインの違いは?マウスピース矯正の正しい選び方
インビザラインとキレイラインについて、その特徴や違いを解説しました。
このコラムでは、下記のようなことが分かったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- インビザラインは、ほぼすべての症例に適応した矯正治療で、治療開始前に治療費をまとめて支払う必要がある
- キレイラインは、前歯12本に限局した矯正治療で、都度払いとコース契約という2つの支払い方法がある
- インビザラインの治療期間は7か月~3年程度で症例によって異なる
- キレイラインの治療期間は自分で決めることができ、目安としては5か月~1年3か月程度
- 全顎的に歯並びを改善したい場合や噛み合わせを改善したい場合はインビザラインがおすすめ
- 治療期間やいつ矯正治療を終了するのかを自分で決めたい方は、キレイラインが向いている
- 事前に歯並びがどのように改善するのか確認したい方や、矯正にかかる期間や費用を知っておきたい方はインビザラインがおすすめ
歯並びの状態やどこまで治したいのかは人それぞれですので、マウスピース矯正を検討されている方は、まずは複数の矯正歯科に相談してみると良いでしょう。
その際、自分が一番気になっているのはどの部分なのか、どこまで改善していきたいかなど、ご自身の気持ちを整理して伝えられるようにしていくのがおすすめです。
東京歯並び矯正歯科では、インビザラインの場合、1枚のマウスピースで移動できる距離は0.25㎜程度とされています。そのため、結果がすぐに表れる治療ではないので、現状では長期的な計画を立てて歯並びを改善していくインビザラインがマウスピース矯正の理想系と考えています。また、豊富な症例実績や適応範囲の広さから、マウスピース矯正ではインビザラインを推奨させていただいております。
インビザライン矯正を検討している方は、まずは当院の診察にて、疑問などをご相談ください。女性歯科医師が丁寧に対応させていただきます。