インビザライン矯正の平均的な期間と短縮する方法と長引くケース

インビザラインシステムでの矯正治療は、透明のアライナーと呼ばれるマウスピースを一定期間ごとに交換して使用するため、治療中は目立ちにくく、痛みも通常のワイヤー矯正に比べると少ないという利点があります。
しかし、矯正治療であることには変わりないため、その治療期間は長期にわたります。なるべく治療期間を短くするために気をつけるべきことはありますが、気をつけていても、残念ながらどうしても治療期間が長引く場合もあります。
目次
一般的な矯正治療の治療期間
矯正治療の治療期間は大きく分けて歯を動かす動的治療期間と、治療後の歯列を維持する保定期間の2種類があります。
歯を全体的に動かす場合の動的治療期間は、1年から場合によっては数年かかります。また、部分的に動かす場合の動的治療期間は、1年未満の場合がほとんどです。
保定期間は1年から2年間は必ず必要な期間となります。保定期間後も歯は動き続けるため、できれば保定期間終了後も保定装置は装着した方が後戻りしにくいです。
矯正治療にこれほどの期間がかかるのは、もし大きな力を歯にかけてしまうと、歯の移動量は多くなるかもしれませんが、同時に歯の周囲の組織に負担がかかり、組織を挫滅(ざめつ)してしまう可能性があるからです。
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インビザラインの平均的な期間
インビザラインの治療期間は、適用となるインビザラインシステムの種類によって異なります。
インビザライン・i7(アイセブン)・Lite(ライト)の治療期間
インビザライン・i7(アイセブン)は、マウスピースを7個までしか作製することができず、またインビザライン・Lite(ライト)は、作製できるマウスピースが14個までと制限されています。これらのインビザラインシステムは軽症例に向いており、治療期間は半年程度から、かかっても1年です。
インビザライン・Full(フル)/ コンプリヘンシブの治療期間
インビザライン・Full(フル)/ コンプリヘンシブは歯の移動に制限がなく、前歯から臼歯まで全ての歯を動かすことができます。インビザライン治療で、一番広く使用されているシステムです。
通常は50個以内のマウスピースで治療が終了することが多いですが、場合によっては、50個以上のマウスピースの数になってしまうことがあります。症例にもよりますが、2年から3年程度治療期間がかかることがほとんどです。
インビザライン・ファースト (ティーン)の治療期間
インビザライン・ファースト (ティーン)は、対象となる歯についてはコンプリヘンシブと同様ですが、永久歯が完全に萌出していない混合歯列期の子供に適用になります。治療期間については半年から1年半程度です。
インビザラインGo(ゴー)の治療期間
インビザラインGo(ゴー)は動かせる歯が前歯と小臼歯のみのシステムです。咬み合わせを大きくは変えられませんが、短期間で治療することが可能です。具体的な治療期間は3ヶ月から長くても半年程度です。
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インビザライン矯正が長期間になる理由
インビザライン矯正は選択する治療プランやマウスピースの交換枚数などの治療計画によって、ある程度の矯正期間の目安は確認できますが、次の要因から治療期間が長期化するケースもあります。
リファインメント
リファインメントとは矯正治療中に、当初の治療計画と異なる動きをした場合や、思うように歯が動かない場合など、治療計画の修正が必要になることです。
インビザラインでの矯正治療の場合では、追加のマウスピースが必要になる場合があり、その分治療期間は長くなります。
決められた時間にマウスピースをしっかりと装着していない
インビザラインのマウスピースの装着時間は、一般的に1日20時間以上とされています。装着するのを忘れたりして、決めたれた時間を装着しないと、適合が悪くなり、歯の動きも悪くなり、結果として治療期間が長くなります。
マウスピースの紛失
マウスピースを紛失してしまうと、マウスピースを再製作しなければなりません。その場合、歯が後戻りをして、治療計画の見直しにつながることにもなります。それが治療期間の長期化につながります。
虫歯や歯周病に罹患してしまう
インビザラインでの治療中に虫歯や歯周病に罹患すると、歯の形が変わってしまい、マウスピースが合わなくなることがあります。それによってマウスピースを再製作する必要が出てくる場合があり、治療期間の長期化につながります。
インビザライン矯正が長引くケース
インビザライン矯正では、症例によっても治療期間が長引くケースもあります。
抜歯する症例の場合
従来のマウスピース矯正は抜歯を必要とする症例は適応外でしたが、インビザラインでは適応となる場合があります。
ただし、抜歯を必要とする症例の場合、抜歯することによってできた大きなスペースに歯を動かす必要があるため、移動量が多くなります。よって治療期間が長くなります。
重度の叢生の場合
叢生とは顎が小さく、歯が正常に生えるスペースが少なくなり、乱杭状態になっていることです。
歯の重なりが軽度の場合はそれほど時間がかかりませんが、重なりが大きく、また重なっている歯の本数が多いと移動量が多くなるため、治療期間が長くなります。
歯槽骨が硬い場合
歯は歯槽骨という骨によって支えられています。
歯槽骨の骨密度や硬さには個人差があり、一般的に骨が硬いと歯の動きが悪くなります。よって一つのマウスピースを装着する期間が長くなり、結果として治療期間が長くなります。
ワイヤー矯正や顎間ゴムを併用する場合
インビザラインシステムでは、症例によってワイヤー矯正や顎間ゴムを併用することが可能です。しかし併用する分、治療期間が長くなります。
インビザラインの治療期間を短縮する方法
インビザライン矯正に限らず、矯正治療は長期間にわたります。少しでも早く矯正を終わらせるには、どのようなことに気をつけたらいいのでしょうか。
決められた日、周期で必ず歯科医院で調整してもらう
インビザラインに限らずマウスピースを使用した矯正では、装置自体の調整に歯科医師が介入する部分は限られますが、歯が目的の位置に動いているか、治療計画通りにきているかを確認してもらう必要があります。
よって痛みや違和感がなくても、定期的にかかりつけの歯科医院を受診するようにしましょう。仮に治療計画通りに歯が動いてきておらず、追加のアタッチメントやマウスピースが必要になったとしても、早期であれば追加の治療日数も短くなります。
インビザラインシステムの種類を変更する
抜歯症例や歯の移動量が多い症例では、基本的にはインビザライン・Full(フル) / コンプリヘンシブが適応になりますが、軽度の叢生症例や前歯から小臼歯のみの移動を伴う症例については、インビザライン・Lite(ライト)やインビザラインGo(ゴー)が適応になる場合があります。
また、動かす歯の種類や量、最終的な歯列形態を変更することによって、使用するマウスピースの枚数を減らすこともできます。
【まとめ】インビザラインの平均的な期間と短縮する方法と長引くケース
インビザラインの治療期間は、適応となるインビザラインシステムの種類によっても異なります。
症例によって、どうしても治療期間が長期になってしまうこともありますが、治療期間を無意味に延長しないためにも、まずはマウスピースをしっかり決められた時間、あるいは決められた位置に装着する、マウスピースを使用しない場合は大切に保管するといった、基本的なことをしっかりと守るようにしましょう。