インビザライン矯正中にマウスピースが臭い(口臭が強くなる)原因と対処法

インビザライン矯正は、取り外し可能な透明のマウスピースを装置として使用します。従来のワイヤー矯正と比べて、治療期間中の審美的な問題が解消されるため、最近ではワイヤー矯正よりもインビザライン矯正を選択する人が増えています。
しかし、1日20時間以上のマウスピースの装着を基本とするため、マウスピースの中が嫌気性(空気がない状態)になりやすく、細菌が増殖しやすい環境が長時間続きます。これにより、マウスピース自体の臭いを感じるのはもちろんのこと、口臭も気になるようになる人が多いです。
このコラムでは、インビザライン矯正中にマウスピースの臭いや口臭がきつくなる原因、その対処法をお伝えしていきます。
目次
インビザライン矯正中のマウスピースの臭いや口臭の原因
マウスピースの臭いや口臭の原因は、口腔内の細菌が出す毒素が原因であることが多いです。よって口腔内の細菌数が増加すると、それに伴いマウスピースの臭いや口臭の症状が出てきます。
インビザライン矯正に使用するマウスピースはSmart Trackという特殊プラスチックで作られています。プラスチックで出来ているため、使用していると目に見えない傷ができやすく、そこに口腔内の細菌が付着すると細菌が増殖しやすくなります。
また、マウスピースを口腔内に装着するとマウスピースと歯牙の間は密着するため、嫌気性の状態が続き、さらに唾液が歯牙に触れにくくなるため、乾燥状態にもあります。その結果、唾液の自浄作用がなくなり、口腔内の悪い細菌は嫌気性で増殖することが多いので、この状態もマウスピースの臭いや口臭の原因となります。
マウスピースの臭いや口臭を放置するとどうなるか
人間の口腔内には、数千億の細菌が存在していると言われています。
マウスピースの臭いや口臭があるということは、口腔内の細菌数がさらに増加しているということです。口腔内の細菌数の増加によって、プロテアーゼと呼ばれる細菌が出す酵素の量も増加します。
このプロテアーゼは口腔内の粘膜に対して働き、細菌やウイルスの侵入を容易にさせます。これによって口内炎や口角炎、さらにはウイルス疾患にもかかりやすくなります。高齢の方では誤嚥性肺炎にもつながることがあります。
インビザライン矯正中のマウスピースの臭いや口臭の対処法
インビザライン矯正中にマウスピースの臭いや口臭が発生させないためには、いくつかの対処法があります。
マウスピースをマウスピース専用の洗浄剤で洗う
ドラックストア等でも最近は、マウスピース専用の洗浄剤が販売されています。
水やぬるま湯の中に錠剤や顆粒を入れて、マウスピースを入れるだけの簡単なもので、扱いやすいです。これにより、マウスピースに付着している細菌や汚れを可及的に除去することができるのでお勧めです。ただし、高温のお湯に入れるとマウスピースが変形するため注意が必要です。
よく市販の歯磨剤でマウスピースを磨く方がいらっしゃいますが、配合されている研磨剤でマウスピースに傷をつけてしまうため、使用には注意が必要です。
セルフケアをしっかりと行う
インビザライン矯正中は、歯牙にも汚れや細菌が付着しやすくなります。よって、いつも以上にしっかりと歯磨きや歯科清掃補助器具(フロスや歯間ブラシ等)を使用して、セルフケアを行うことが大切です。
高度なセルフケアの方法として、今まで使用したことがない方も、電動歯ブラシを使用することをお勧めします。電動歯ブラシは個人のセルフケアスキルにあまり関係なく、歯牙に当てるだけで汚れをしっかり落とすことができます。
歯科医院でクリーニングしてもらう
セルフケアをある程度完璧に行ったとしても、多少は歯石や汚れは溜まってしまいます。インビザライン矯正中は少なくても3か月に1回程度は歯科医院でクリーニングしてもらうことをお勧めします。
歯科医院でクリーニングすることで、可及的に口腔内の細菌数を減らすこともできます。
唾液分泌を促す
インビザライン矯正中は、マウスピースの内面と歯牙の間は密着するため、乾燥状態になりやすいです。そのため唾液の分泌を促進させ、乾燥をなるべくさせないようにすることも大切です。
唾液を分泌させるためには、水分のこまめな摂取や唾液腺のマッサージをします。
マウスピースのお手入れと保管方法
マウスピースのお手入れをしっかりとしないまま使用すると、マウスピースが白くなることがあります。これはマウスピースに付着した唾液が石灰化して白くなったものです。
石灰化した部分には細菌が付着しやすくなります。インビザライン矯正で使用するマウスピースは1〜2週間で新しいものに交換するため、マウスピース自体のお手入れがおろそかになりがちですが、短期間でも汚れや細菌が付着するとマウスピースの臭いや口臭だけでなく、虫歯や歯周病のリスクも上がります。
また、マウスピースを使用しない時は水気をなくして、通気性の良いところで保管することも大切です。水気がある状態だと細菌が増殖しやすく、臭いの原因となります。
マウスピースを保管するケースも定期的に洗浄する必要があります。理由は、マウスピースに付着した汚れや細菌が多少なりともマウスケースに移るからです。
【まとめ】インビザライン矯正中にマウスピースが臭い(口臭が強くなる)原因と対処法
インビザライン矯正中におけるマウスピースの臭いや口臭については、その原因をまず理解し、しっかりと対策を取ることが大切です。
対策をしっかりしないと感染症にかかりやすくなるなど、矯正治療以外の問題を引き起こす可能性もあるため、甘く見ない方が賢明です。