インビザラインの洗浄方法と取扱いの注意点

インビザラインシステムでの矯正治療は透明なアライナーと呼ばれるマウスピースを使用するため、治療中目立たない、痛みが少ないといった特徴があります。
一方、マウスピースは可綴式装置(患者さん自身で取り外しが可能)のため、患者さん自身での装置の管理が重要になってきます。
このコラムでは、インビザラインで使用するアライナーの洗浄方法と管理するにあたっての注意点をお伝えいたします。
目次
インビザラインの装着の仕方と取り外し方
インビザラインのアライナーは薄いプラスチックでできているため、装着時、及び取り外す時に乱雑に扱うと破損につながります。
アライナーを装着する時は、両手で持ち、軽く歯に当ててゆっくりと均一に力を加えます。おおよそ装着できたら、チューイー(アライナーを確実に装着するためのシリコン製のチューブ)を使用して、さらに歯にフィットさせてきます。
アライナーを取り外す時は、臼歯部付近の装置の裏側に爪を引っ掛けて取り外します。少し外れたら、前歯の方を外していきます。
治療中はアタッチメントなどの補助装置が付与されていることがあるので、慎重にゆっくりと取り外すようにします。
インビザラインの洗浄方法
インビザラインのアライナーは1日20時間以上装着し、1つの装置を1週間から2週間程度使用します。よって1日の大半はアライナーが口腔内に存在するので、不潔になります。
洗浄方法としては手指で軽くこすりながら、流水で洗うのが効果的です。お湯で洗浄すると、汚れは落ちやすくなりますが、インビザラインが変形してしまうので厳禁です。
汚れを落とすために入れ歯用のブラシや歯ブラシを使用しても構いませんが、装置を傷つけるため、柔らかめのブラシを使用した方が良いです。また、歯磨剤の使用は中に研磨剤が入っており、装置を傷つけてしまうため使用は控えましょう。
矯正用リテーナー、マウスピースに対応した洗浄剤が市販されています。毎日とは言わずとも数日に一回使用することで、化学的に汚れを除去することが可能なため、清潔に装置が使用でき、お勧めです。
ただし、矯正用リテーナー、マウスピースに対応していない入れ歯用の洗浄剤に浸すと、装置が変形、劣化することがあるので注意が必要です。
洗浄した後はよく乾燥させます。乾燥させないと装置内の細菌が増加して不潔になってしまうからです。乾燥方法としてはケースの中にティッシュを引き、装置をその上に置いて蓋を開けたまま乾燥させると良いです。
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インビザラインの洗浄の頻度
1日に1回は必ずよく洗浄するようにしてください。できれば、毎食前にアライナーを外す度に洗浄すると理想的です。
インビザライン治療中の口腔内の清掃について
アライナー装着中は歯面が装置に覆われているため、自浄作用が期待できません。
大切なのはアライナーを取り外した後、装着する前に必ず口腔内を清掃することです。汚れが残存した状態で装着すると、マウスピース内で嫌気性(空気がない状態)が高まり、細菌数が増加します。結果として虫歯や歯周病に罹患しやすくなります。
また、デンタルフロスの使用もとても大切です。歯と歯の間に存在する汚れは歯ブラシのみで落とすことは困難です。特にインビザライン治療中は歯と歯の間に汚れが溜まりやすいです。
歯磨剤に関しても通常の歯磨剤だけでなく、高濃度のフッ素ジェルを併用すると良いです。フッ素は歯質を強化し、細菌の活性を抑え、虫歯になりにくくします。
インビザラインの保管方法
アライナーは、必ず専用のケースに入れるようにします。インビザラインには通常赤いケースと青いケースの2種類が付属されています。
赤いケースには現在使用しているアライナーの一つ前のアライナーを、青いケースには現在使用しているアライナーを入れるようにします。一つ前のアライナーを保管する目的は現在使用しているアライナーが紛失や破損した時のためです。
ケースに入れないと不衛生になり、また落下などによって破損の原因となってしまします。
お食事の際のインビザラインの扱いについて
食事をする際はアライナーを外します。原則アライナーを装着したまま食事をするのは厳禁です。
装着したまま食事をすると装置の内側に汚れが溜まり、咬みどころによっては破損の原因になるからです。
飲むことに関しては、水を飲む程度であればアライナーを装着したままでも構いませんが、それ以外のものを飲む時は装置の着色の原因となるため、装置を外して飲むことをお勧めします。
インビザラインのその他取り扱いの注意点について
- 自分の今のアライナーが何番目の装置か、上の装置なのか、下の装置なのかわからなくなることがあります。その場合はインビザラインに刻印されているアルファベットと数字を確認すると解決できます。
上の装置には「U」が、下の装置には「L」が刻印されており、そのあとの数字が何番目の装置なのかを示す数字となっています。 - 外出先で口腔内の清掃ができない場合は、装着する前にうがいをすることをお勧めします。
うがいをすることによって、歯ブラシやデンタルフロスを使用した時ほど汚れを落とす事はできませんが、最低限の汚れを落とすことができます。 - 体調不良や外出等のやむを得ない理由で、長期間もしくは長時間アライナーを装着できない時は、無理をして先の装置へ進行すると、歯がうまく動かなくなる可能性があるため、かかりつけの歯科医院に相談してください。
- タバコはインビザラインの着色につながるので、治療中は可能な限り控えた方が良いです。どうしてもタバコを喫煙したい場合は電子タバコにすると着色がつきにくいです。
【まとめ】インビザラインの洗浄方法と取扱いの注意点
インビザラインシステムでの矯正治療の成功の可否は、使用する装置の扱い方がキーポイントです。治療期間が短くても数か月、長いと数年になるため、毎日の管理はとても大切です。
扱い方や管理方法でわからないことがあれば、かかりつけの歯科医院にすぐに相談しましょう。