インビザラインのアタッチメントとは?その必要性と注意点
手軽に目立つことなく歯列矯正ができるインビザラインによる矯正治療では、アタッチメントと呼ばれる小さな出っ張りを付けて、アライナーの安定性向上や矯正力の細かな調整を行います。
歯列矯正の相談では「歯列不正の程度が重くマウスピース矯正には向かないと言われた」「マウスピースで本当に歯並びがきれいになるのか不安」という声が多く聞かれます。
そこでマウスピース矯正の精度を高めるために、アタッチメントなしの治療が難しい場合には目的に合わせたアタッチメントを付与することになります。
この記事では、インビザライン矯正で使用されるアタッチメントについて解説します。
この記事を読むことで、インビザライン矯正のアタッチメントの特徴や注意点などを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解決!
- インビザライン矯正のアタッチメントの特徴とは
- インビザラインのアタッチメントの種類にはどのようなものがあるのか
- インビザラインのアタッチメントの付け方と外し方はどのような術式か
- インビザラインのアタッチメント装着後の注意点とは
目次
インビザライン矯正のアタッチメントとは
インビザラインにおけるアタッチメントは、歯の表面に付与されるコンポジットレジンで構成された出っ張りです。白いプラスチックのような材料なので、治療中もそれほど目立つことはありません。
インビザラインにおける矯正治療は、アライナーと呼ばれるマウスピースを使用して矯正力をかけるため、歯を動かす過程でマウスピースの内面と歯面が合わなくなってしまい、適切な矯正力をかけることができなくなってしまうことがあります。これを防ぐのがアタッチメントであり、マウスピースを歯面としっかりと密着させることによって適合を常によくし、維持力を増すこともできます。
アタッチメントの形は四角いものから丸いものまでありますが、おおよその大きさは3㎜から5㎜程度のものが多いです。
※コンポジットレジンとは、有機質と無機質の混合材料で、主に虫歯治療の後の詰め物として使用されることが多いです。ある程度の接着力で歯面と接着しますが、強い力がかかると外れてしまうことがあります。
インビザラインアタッチメントの種類
アタッチメントには、インビザラインの設計時にソフトウェアが自動的にマウスピースに付与する最適アタッチメントと、必要に応じてチェアサイドで歯科医師がマウスピースに付与する通常アタッチメントの2つがあります。最適アタッチメントには以下の種類があります。
オープンバイト用最適アタッチメント
臼歯部が咬合接触した際に、前歯部が咬合接触していない状態を開咬といい、オープンバイトとも呼ばれます。上顎の前歯部にアタッチメントを付与し、歯を挺出させる力をかけます。
ディープバイト用最適アタッチメント
咬合接触した際に、下顎の前歯部が上顎の前歯部でほぼ完全に見えなくなる咬み合わせに使用するアタッチメントです。
下顎の前歯部や小臼歯部にアタッチメントを付与し、臼歯部を挺出させることによって改善をはかります。
必要に応じて上顎マウスピースの裏側に、バイトランプという突起物を付与することがあります。これは臼歯部で咬合させる前に、バイトランプに下顎前歯部を当てることによって臼歯部の圧下を防ぎます。
ルートコントロール用最適アタッチメント
歯根部に力をかけたい時に使用されるアタッチメントです。
主に犬歯や中切歯が力をかける対象となる歯になることが多く、空隙閉鎖に使用されます。
回転用最適アタッチメント
歯を回転させ、理想的な歯列弓へと誘導します。アタッチメントは主に犬歯や小臼歯に付与されます。
アンカレッジ用最適アタッチメント
抜歯が必要な症例に対して適用されるアタッチメントです。
インビザラインアタッチメントの付け方と外し方
アタッチメントは基本的に、患者様では付けるまたは外すことはできません。歯科医院で適切な方法で、取り付けと取り外しをする必要があります。
アタッチメントの付け方
まずアタッチメントを付与する歯の表面を研磨剤で綺麗に磨きます。
次に歯の表面を乾燥させ、エッチング剤(歯の表面をデコボコにする薬剤)で表面処理をします。
数十秒後に水洗します。
その後コンポジットレジンの接着剤を塗布し、光照射をします。コンポジットレジンを歯面に築造し、マウスピースを装着して光照射をし、コンポジットレジンを硬化させます。マウスピースを慎重に外して、バリを除去し、研磨して終了となります。
アタッチメントの外し方
アタッチメントを除去する際はレジンリムーバーという除去器具で除去していきます。この際歯にバチバチという音を立てながら、強い力が加わります。
アタッチメントを除去した歯面はザラザラしているため、研磨して終了となります。
インビザラインアタッチメントの注意点
- アタッチメントが取れてしまった際は、直ちに治療に影響が出るわけではありませんが、長期に放置してしまうと治療が上手くいかない場合があります。その場合は早めにかかりつけの歯科医院を受診することをお勧めします。
- アタッチメントを付与したばかりの時は、頬粘膜や口唇にアタッチメントが触れて、弱い痛みや違和感が出ることがありますが、通常は2、3日で慣れてきます。
- アタッチメントを付与すると、マウスピースの着脱が難しくなることがあります。
装着する時はゆっくりと無理な力はかけずに、外す際はマウスピースの端を指に引っ掛け、広げるように外すことがコツです。 - アタッチメントはコンポジットレジンで構成されているため、治療中に着色しやすい食べ物を摂取すると、着色してしまう可能性があります。
治療中はできるだけ着色しやすい食べ物の摂取を控えることを勧めます。 - アタッチメントを付与した歯面にホワイトニングの薬剤を塗布しても浸透しないため、アタッチメントを付与した歯に対してのホワイトニングは避けた方が良いです。
- アタッチメント部分は、通常通り歯磨きを行っていただけますが、アタッチメントの周囲は汚れが溜まりやすく、ブラッシングをより丁寧にする必要があります。
【まとめ】インビザラインのアタッチメントとは?その必要性と注意点
インビザライン矯正でよく使用される、アタッチメントについて解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
ここがポイント!
- アタッチメントは矯正力の維持や増強のために歯の表面に設置されるコンポジットレジン製の出っ張りで目立つことはない
- アタッチメントには自動的に付与される最適アタッチメントと必要時に付与する通常アタッチメントがあり、最適アタッチメントには「オープンバイト用(開咬の治療用)」「ディープバイト用(過蓋咬合の治療用)」「ルートコントロール用(歯根の傾きを変えるため)」「回転用(歯軸を回転させるため)」「アンカレッジ用(抜歯後のスペースクローズのため)」の5つのタイプがある
- アタッチメントの付け方は、表面処理をした歯にマウスピースの形状に合わせ、光硬化型のコンポジットレジンを築造して設置する
- アタッチメントの外し方は、レジンリムーバーという専用の器具を使って除去し、その後歯面を研磨する
- アタッチメント付与後の注意点として「取れたら早期受診をする」「痛い時や違和感がある時は慣れるまで2、3日かかる」「付与後はマウスピースの着脱にコツが必要」「着色がつきやすい」「ホワイトニングは避けた方がいい」「より丁寧なブラッシングが必要」といったことが挙げられる
インビザラインのアタッチメントは、確実な治療効果を得るために必要な装置です。
材料の特性からアライナー使用中に外れてしまうことがしばしばありますが、治療のためになくてはならない存在であることをしっかり理解して、早めに対処することが大切です。
アタッチメントをいつまで付けておくかは治療の進み具合で決まりますが、治療が終わるまで少なくとも2、3年は外すことはできません。
東京歯並び矯正歯科では、治療に関するさまざまなトラブルや悩みに迅速に対応することを心がけており、スムーズに治療が進むよう丁寧なフォローを行っています。