インビザラインの洗浄方法と取扱いの注意点
インビザラインの大きな特徴は、可綴式と呼ばれる取り外しタイプであることや患者さん自身で装置の管理をすることにあります。また、従来の矯正とは違い目立たず痛みも少ないため、これまで躊躇していた大人の患者さんにとっても、治療のハードルを下げてくれた画期的な矯正法です。
ただし、マウスピース(アライナー)の正しい取扱いやお手入れをきちんと行うことは不可欠です。
「治療にも慣れてきて適当に扱っていたら割れてしまった」「歯磨きはしていたけどマウスピースはちゃんと洗浄せずに使っていたら虫歯ができた」といった、マウスピースの管理にまつわる失敗談も耳にします。
この記事では、インビザラインの洗浄方法や取扱いについて解説します。
この記事を読むことで、インビザライン矯正中で重要となるマウスピースの正しい管理方法を理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解決!
- インビザラインの正しい着脱の方法は?
- マウスピースの洗浄方法や頻度は?
- インビザライン治療中の口腔ケアはどうすればいいの?
- インビザラインのおすすめの保管方法とは
- 食事時のインビザラインの取扱いは?
- 知っておくべきその他の注意点とは?
目次
インビザラインの装着の仕方と取り外し方
インビザラインのアライナーは薄いプラスチックでできているため、装着時、及び取り外す時に乱雑に扱うと破損につながります。
アライナーを装着する時は、両手で持ち、軽く歯に当ててゆっくりと均一に力を加えます。おおよそ装着できたら、チューイー(アライナーを確実に装着するためのシリコン製のチューブ)を使用して、さらに歯にフィットさせてきます。
アライナーを取り外す時は、臼歯部付近の装置の裏側に爪を引っ掛けて取り外します。少し外れたら、前歯の方を外していきます。
治療中はアタッチメントなどの補助装置が付与されていることがあるので、慎重にゆっくりと取り外すようにします。
インビザラインの洗浄方法
インビザラインのアライナーは1日20時間以上装着し、1つの装置を1週間から2週間程度使用します。よって1日の大半はアライナーが口腔内に存在するので、不潔になります。
洗浄方法としては手指で軽くこすりながら、流水で洗うのが効果的です。お湯で洗浄すると、汚れは落ちやすくなりますが、インビザラインが変形してしまうので厳禁です。
汚れを落とすために入れ歯用のブラシや歯ブラシを使用しても構いませんが、装置を傷つけるため、柔らかめのブラシを使用した方が良いです。また、歯磨剤の使用は中に研磨剤が入っており、装置を傷つけてしまうため使用は控えましょう。
矯正用リテーナー、マウスピースに対応した洗浄剤が市販されています。毎日とは言わずとも数日に一回使用することで、化学的に汚れを除去することが可能なため、清潔に装置が使用でき、お勧めです。
ただし、矯正用リテーナー、マウスピースに対応していない入れ歯用の洗浄剤に浸すと、装置が変形、劣化することがあるので注意が必要です。
洗浄した後はよく乾燥させます。乾燥させないと装置内の細菌が増加して不潔になってしまうからです。乾燥方法としてはケースの中にティッシュを引き、装置をその上に置いて蓋を開けたまま乾燥させると良いです。
インビザライン矯正後に欠かせない保定装置「ビベラリテーナー」と他のリテーナーとの違い
インビザラインの洗浄の頻度
1日に1回は必ずよく洗浄するようにしてください。できれば、毎食前にアライナーを外す度に洗浄すると理想的です。
インビザライン治療中の口腔内の清掃について
アライナー装着中は歯面が装置に覆われているため、自浄作用が期待できません。
大切なのはアライナーを取り外した後、装着する前に必ず口腔内を清掃することです。汚れが残存した状態で装着すると、マウスピース内で嫌気性(空気がない状態)が高まり、細菌数が増加します。結果として虫歯や歯周病に罹患しやすくなります。
また、デンタルフロスの使用もとても大切です。歯と歯の間に存在する汚れは歯ブラシのみで落とすことは困難です。特にインビザライン治療中は歯と歯の間に汚れが溜まりやすいです。
歯磨剤に関しても通常の歯磨剤だけでなく、高濃度のフッ素ジェルを併用すると良いです。フッ素は歯質を強化し、細菌の活性を抑え、虫歯になりにくくします。
インビザラインの保管方法
アライナーは、必ず専用のケースに入れるようにします。インビザラインには通常赤いケースと青いケースの2種類が付属されています。
赤いケースには現在使用しているアライナーの一つ前のアライナーを、青いケースには現在使用しているアライナーを入れるようにします。一つ前のアライナーを保管する目的は現在使用しているアライナーが紛失や破損した時のためです。
ケースに入れないと不衛生になり、また落下などによって破損の原因となってしまします。
お食事の際のインビザラインの扱いについて
食事をする際はアライナーを外します。原則アライナーを装着したまま食事をするのは厳禁です。
装着したまま食事をすると装置の内側に汚れが溜まり、咬みどころによっては破損の原因になるからです。
飲むことに関しては、水を飲む程度であればアライナーを装着したままでも構いませんが、それ以外のものを飲む時は装置の着色の原因となるため、装置を外して飲むことをお勧めします。
インビザラインのその他取り扱いの注意点について
- 自分の今のアライナーが何番目の装置か、上の装置なのか、下の装置なのかわからなくなることがあります。その場合はインビザラインに刻印されているアルファベットと数字を確認すると解決できます。
上の装置には「U」が、下の装置には「L」が刻印されており、そのあとの数字が何番目の装置なのかを示す数字となっています。 - 外出先で口腔内の清掃ができない場合は、装着する前にうがいをすることをお勧めします。
うがいをすることによって、歯ブラシやデンタルフロスを使用した時ほど汚れを落とす事はできませんが、最低限の汚れを落とすことができます。 - 体調不良や外出等のやむを得ない理由で、長期間もしくは長時間アライナーを装着できない時は、無理をして先の装置へ進行すると、歯がうまく動かなくなる可能性があるため、かかりつけの歯科医院に相談してください。
- タバコはインビザラインの着色につながるので、治療中は可能な限り控えた方が良いです。どうしてもタバコを喫煙したい場合は電子タバコにすると着色がつきにくいです。
【まとめ】インビザラインの洗浄方法と取扱いの注意点
インビザラインの洗浄方法や取扱いについて解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
ここがポイント!
- マウスピースの装着時は、両手で均一に押し込みチューイーを使ってフィットさせ、取り外すときは臼歯部の裏側から前歯にかけて徐々に外し、アタッチメントがある場合はさらに慎重に行う
- 必ず手指や柔らかめのブラシで水を使って、1日に1回、できれば毎食前マウスピースを外す度に歯磨剤を付けずに洗浄と乾燥を行い、数日に1回は対応する洗浄剤に入れるのがおすすめ
- マウスピースを外した後や装着前に歯ブラシとデンタルフロス、高濃度のフッ素ジェルを併用して、虫歯や歯周病を予防することが必要
- 現在使用中のマウスピースを青いケース、紛失や破損時用の予備として1つ前のものを赤いケースに保管しておく
- 食事時は必ずマウスピースを外すことが不可欠で、飲み物を飲む際には着色予防のために外すのがおすすめ
- その他の知っておくべき注意点は以下の通り
・U(上)とL(下)の刻印で上下を、その後の数字で何番目かを確認できる
・外出先で清掃ができないときは装着前にうがいをするのがおすすめ
・何らかの理由で長時間装着できないときはかかりつけの歯科医院に相談する
・タバコは着色の原因となるため控えるか電子タバコにする
インビザラインは、自分でマウスピースの管理をしっかり行うことが大切です。長い期間を必要とする治療のため、自己管理が大きなポイントとなります。
それでも、不安や不測の事態は避けられません。なにかトラブルや疑問があれば、かかりつけの歯科医院に早めに相談するように心がけましょう。
東京歯並び矯正歯科では、矯正治療期間中でも歯科医師へ直接相談のできるメール相談もご案内しております。矯正期間中の不安を払拭して、矯正ライフを送ってください。