歯列矯正とインプラント治療の優先順序は?
歯並びの悪さや歯を失ったことによって噛み合わせが悪くなった多くの人が、日々悩んでいる事実は昔も今も変わりません。近年、歯科治療が進歩するにつれて求められるニーズは複雑化し、歯列矯正やインプラント治療の需要も急増し、治療は高度化しています。
「歯がガタガタでちゃんと噛めない」という歯列不正に始まり、「歯並びのせいで虫歯になり抜歯したら噛み合わせがもっと悪くなった」という歯列不正と歯の欠損の両方の問題を抱えることになった人でも、歯並びの改善と噛み合わせの回復は可能です。
この記事では、歯列不正と歯の欠損が併存している人の治療について解説します。
この記事を読むことで、矯正とインプラント治療を両方受ける場合の順序や注意したいことを理解でき、下記のような疑問や悩みを解決します。
こんな疑問を解決!
- 歯列矯正とは
- インプラント治療とは
- 歯列矯正とインプラント治療はどっちが先でどっちが後か
- 歯列矯正とインプラント治療両方を受ける場合の注意点とは
- 歯列矯正とインプラント治療の両方を受ける場合に大切なこととは
目次
歯列矯正とは
歯列矯正はその名の通り、歯の並びを変えることによって口元の見た目を改善する歯科治療です。口元の見た目の印象は人の第一印象のイメージに大きく寄与し、顔の中でも大切な部分です。
そして、歯列矯正は歯並びを変えることができますが、同時に咬み合わせを変えることもできます。咬み合わせを改善することでよく咬めるようになるのはもちろんですが、姿勢が良くなったり、唾液がよく出るようになったり、脳の正常な発育に関与したりと、口元の見た目以上に全身の健康状態が良くなります。
インプラント治療とは
インプラント治療は虫歯や歯周病で歯を失った部分に、チタン製のネジを埋め込み、その上から歯に近似した被せ物をすることによって、失った歯を回復する治療です。
従来、歯を補填する方法としては隣接する他の歯を数本削り、これを土台として欠損部にダミーの歯を設置した一体型の被せ物を接着するブリッジか、床と呼ばれるピンクの樹脂に欠損した歯の代わりとなる人工歯を並べ、残った歯にバネで安定させる着脱式の入れ歯の2つの方法がありました。
ブリッジも入れ歯も決して悪い治療法ではありませんが、失った歯の前後の歯に負担がかかってしまいます。インプラント治療は前後の歯に負担がかからない、単独の治療のため、歯には優しいと言えます。インプラント治療を受けることで、自分の歯のように咬むことができるようになります。
歯列矯正とインプラント治療の関係
歯列矯正とインプラントは、現在の歯科治療では大変需要があります。
全体的に歯が悪い場合は、両方の治療を併用する治療計画が歯科医師から提示されることも少なくありません。すなわち両方の治療を併用することで、理想的な歯並びと咬み合わせの両方を手に入れることができます。
歯列矯正とインプラント治療はもちろん併用は可能ですが、治療の優先順位があります。
歯列矯正とインプラント治療の優先順位
歯列矯正とインプラント治療の両方の治療を受ける場合は、通常はまず歯列矯正から治療が開始されることが多いです。
なぜならば、患者さんの体の中に入ったインプラントは、矯正治療で力をかけて動かすことができないからです。つまり、歯列矯正でインプラントを埋め込むスペースを作ることも加味しながら理想的な歯並びにして、その上でインプラントを埋め込むことになります。ただし、2つほど例外もあります。
1つ目は、インプラントを埋め込むスペースが十分に存在し、かつインプラントを埋め込む部分の周囲の歯が、矯正治療で歯を動かす対象の歯ではない場合です。この場合はインプラント治療と同時に矯正治療を受けることが可能です。
インプラントは骨の中に埋め込みますが、骨とインプラントが結合するまで数か月の期間がかかるため、その間に矯正治療を行えば効率的です。
2つ目は、矯正用のアンカーインプラントを用いる場合です。通常のインプラントは失った歯の形態を回復することを目的としていますが、矯正用のアンカーインプラントは、インプラントを埋め込むことで、矯正治療に必要な強力な固定源とすることを目的としています。固定源となるインプラントは、矯正治療を行う前に埋め込むことが適切となります。
歯列矯正とインプラント治療の両方の治療を受ける際の注意点
歯列矯正とインプラント治療の両方の治療を受ける際には、いくつか注意する点があります。
治療期間が長くなる可能性がある
歯列矯正は場合によっては数年間、インプラント治療も実際の歯の形が回復するまで数か月はかかります。この2つの治療を併用する場合は、必然的に治療期間が長くなります。
費用が高額になる
矯正治療とインプラント治療は、基本的には健康保険の適用外になります。
矯正治療は数十万から数百万、インプラント治療も1本数十万ほどの治療費がかかることが一般的です。
医療費控除の対象となる場合もありますが、高額な治療になるのは間違いないということは留意しておくことが必要です。
1つの歯科医院で行えない可能性がある
矯正治療とインプラント治療は、歯科治療の中では専門性の高い分野になります。全国で7万ある歯科医院の中で、この2つの治療を併用してしっかりと治療ができる歯科医院はそれほど多くはありません。
矯正治療とインプラント治療の両方を希望する場合は、事前にホームページ等で確認してから歯科医院を受診することをお勧めします。また、すでに通院中の歯科医院で両方の治療を併用することを提案された場合、矯正治療、またはインプラント治療のどちらか、または両方をより専門性の高い医院への紹介を受ける場合もあります。
矯正治療前にインプラントが埋め込まれている場合は?
矯正治療前にインプラントが埋め込まれている場合は、歯を適切な場所に動かすため、治療前にインプラントを除去することがあります。除去されたインプラントは再利用できないため、必要に応じて再度インプラントを埋め込む必要があります。
【まとめ】歯列矯正とインプラント治療の優先順序は?
歯列不正と歯の欠損が併存している症例で、歯列矯正とインプラント治療の優先順序について解説しました。
この記事では、下記のようなことが理解できたのではないでしょうか。
ここがポイント!
- 歯列矯正により歯並びや噛み合わせを改善すると、見た目だけでなく全身の健康状態を改善できる
- 失った歯を回復するインプラント治療は、従来のブリッジや義歯のように他の歯に負担をかけずに自分の歯のように噛めるようになる
- 歯列矯正とインプラント治療の両方を受ける場合、歯列矯正が優先されることが多いが例外もある
- 歯列矯正とインプラント治療の両方を受ける場合、治療期間や費用、専門性の高い歯科医院への紹介、既設のインプラントの撤去や再埋入のリスクがある
インプラントは、骨に直接結合しているため歯列矯正で動かすことができません。そのため歯列矯正も併せて希望する場合、インプラントに必要なスペースを確保することを念頭に矯正治療で歯を適切な位置に動かし、歯列が安定してから空いたスペースにインプラント治療を行うのが一般的です。
例外はあるものの、どっちが先か後かという点については、歯列矯正を先に行う場合が多いのは間違いありません。ただ、どのようなケースにおいても必要な検査を行い専門的な見地からさまざまな方法を検討し、治療計画を立てることが大切です。
東京歯並び矯正歯科では、女性歯科医師がしっかりとした診察・相談を行い、納得できる治療をご提供できるよう細心の注意を払いながら治療を行っています。