捻転歯(ねじれ歯)の原因と矯正治療

捻転歯は“ねじれ歯”とも呼ばれ、歯並びが悪くなるだけでなく、清掃が難しくなり、虫歯や歯周病の原因となります。
捻転歯になってしまう原因は様々あります。捻転歯ができる仕組みを理解すれば、全ての症例に当てはまるわけではありませんが、捻転歯を防げる場合もあります。
目次
捻転歯とは
歯がねじれて萌出してしまうことを捻転歯と言います。歯自体に変形はありません。
捻転歯は上下顎の前歯部に特に多く、その他臼歯部で発生することもありますが、前歯部ほど頻度は多くないです。ねじれの度合いも捻転歯によって差があり、歯によっては180°ねじれている場合もあります。
捻転歯になる原因
捻転歯になる原因には、次のものがあります。
歯が萌出するスペースが足りない
歯の萌出するスペースが足りない、すなわち顎骨の成長が悪いと、歯は萌出するスペースを求めて本来萌出するべき位置とはズレて萌出してきます。これによって捻転歯が発生する場合があります。
乳歯が大きな虫歯になってしまった場合
乳歯が大きな虫歯になってしまうと、乳歯の根の先端に膿が溜まってしまう可能性があります。後続永久歯はこの膿を避けて萌出しようとするため、捻転歯が発生する場合があります。
乳歯が長く残存してしまった場合
乳歯の根吸収が本来のペースでうまく進まなかったり、乳歯が骨と癒着してしまったりした時、乳歯が通常よりも長く残存します。
この場合、後続永久歯が乳歯を避けて萌出してこようとするため、捻転歯が発生する場合があります。
過剰歯が存在している
人間の歯は親知らずも合わせると、上下左右で32本存在します。しかし、中にはそれ以上の歯が存在することもあります。それが過剰歯です。
過剰歯が存在すると歯の萌出が阻害され、歯が本来萌出する位置とは別の場所に萌出してくることがあります。この際、捻転歯が発生する場合があります。
遺伝的(先天的)な問題
歯の卵である歯胚(歯の卵)が生じた段階でねじれている場合もあります。この場合は後天的(生まれた後に生じること)な問題がなかったとしても、捻転歯として萌出してきます。
親知らずが歯を押している
親知らずが萌出するスペースが不足していると、臼歯部から前歯部にかけて親知らずの萌出力である横向きの力が、臼歯部から前歯部にかかります。これによって捻転歯が発生する場合があります。
捻転歯になるとどうなるか
では捻転歯をそのままにしていると、どのような症状が現れてくるのでしょうか。
歯並びが悪くなる
捻転歯があると左右の歯列のバランスが崩れるため、歯並びが悪くなります。
捻転すると隣接する歯との間にスペースができます。そのスペースに隣接する歯が傾斜、または移動してくるので歯並びが悪くなります。よって審美的な障害が出ます。
虫歯や歯周病になりやすい
歯のねじれ方にもよりますが、歯が捻転すると清掃がしづらくなります。少なくとも毎日糸ようじを必ず通すようにしないと、プラークや歯石が沈着しやすくなり、虫歯や歯周病が発生しやすいです。
他の歯に負担がかかる
特に前歯に捻転歯が存在する場合、食事時に前歯でうまく咬みきれない場合があります。その場合、臼歯部に負担がかかるため、臼歯部の咬合性外傷や歯冠破折、歯根破折を引き起こす可能性があります。
捻転歯の治療
捻転歯の治療は基本的には矯正治療が適応となります。また矯正治療以外の方法もご紹介します。
マウスピース矯正
インビザライン等のマウスピース矯正で捻転歯を治療することは可能ですが、重度の捻転歯の場合は適応外となることもあります。
また、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在している歯列)にインビザライン・ファーストを利用すれば歯列の幅が狭い為に捻転歯になりそうな後続永久歯に対して、スペースを付与して捻転歯を防ぐことができる可能性があります。
ワイヤー矯正
従来のワイヤー矯正によって、捻転歯は治療することが可能です。
すでに捻転歯として萌出した永久歯が対応になります。ただし、180°近く捻転している歯をワイヤー矯正で治療するのは困難な場合が多いです。歯の捻転度合いによっては、舌側にワイヤーを固定した舌側矯正で治療した方が良い場合もあります。
床矯正
乳歯列期または混合歯列期にパノラマレントゲン等で顎骨の成長が悪く、歯列が狭く捻転歯が生じることが予想される場合は床矯正も有効です。
床矯正は入れ歯のような可綴式(取り外し可能)の装置で、成長期の歯列不正に適応の装置です。
抜歯
すでに捻転歯として萌出した歯牙が対象となります。歯列の内側や外側に転位して、抜歯しても咬合及び審美性に問題がない場合、抜歯適応になることもあります。
補綴治療
捻転歯を補綴(被せ物)治療により改善する方法です。補綴することで正常な歯冠形態を付与することができます。
歯を削らなければならないことや、生活歯(神経が生きている歯)の場合は便宜的に神経を取らなければならない可能性といったデメリットもあります。
【まとめ】捻転歯(ねじれ歯)の原因と矯正治療
捻転歯は見た目の問題だけでなく、口腔内の清掃性が悪くなってしまいます。
先天的に捻転歯になってしまっている場合は防ぎようがありませんが、後天的に捻転歯にならないために、大きな虫歯にならないことや、歯列の幅が狭い場合は事前に矯正することが必要になってきます。