マウスピース矯正のメリットとデメリットは?ワイヤー矯正との違いも解説
歯並びをきれいに治す歯列矯正治療には、ワイヤー矯正とマウスピース矯正がありますが、最近、マウスピース矯正を行う患者さんが増加しています。人と話す機会の多い接客業や営業職、写真映りを気にする女性には、矯正治療を行なっていることが見た目にはわからないというのは大きなメリットです。
この記事では、従来型のワイヤー矯正との比較をしながら、マウスピース矯正のメリット・デメリットついて解説します。
この記事を読むことで、マウスピース矯正への理解が深まり、下記のような疑問や不安を解消します。
こんな疑問を解決!
- マウスピース矯正のメリットは?
- マウスピース矯正のデメリットは?
- ワイヤー矯正とはどのような違いがあるの?
目次
マウスピース矯正とは
マウスピース矯正は、治療開始前の歯並びをデータとして記録し、ソフトによるシミュレーションを行い、段階的にマウスピースを交換することで、理想的な歯並びに導く方法です。
様々な歯科医療メーカーがマウスピース矯正の方法を開発し、多くの症例に採用されてきました。国内では、インビザラインやクリアコレクトといったブランドによるマウスピース矯正治療が広く行われている傾向があります。
マウスピース矯正の6つのメリット
では、“マウスピース矯正だからこそ”のメリットとはどのようなものがあるでしょうか?下記に6つのメリットをご紹介いたします。
①矯正装置が目立たない
マウスピースは、透明で薄い素材でできています。そのため、装着中であっても、対面で会話をしていても、目立つことはありません。
②取り外せる
ワイヤー矯正では、装置をご自身で取り外すことができないため、歯磨きがしにくい、会食時に心配といったデメリットがあります。
対してマウスピース矯正であれば、ご自身で歯磨き時には取り外して全体を磨くことができますし、食事の際には前もって取り外すことで好きな食べ物や飲み物を選べます。
③金属アレルギーがあっても治療可能
ワイヤー矯正で使われるワイヤーは基本的に金属でできていますが、マウスピース矯正のマウスピースは金属フリーのため金属アレルギーがある方にも安心して治療を受けていただくことが可能です。
④ワイヤーで怪我しない
ワイヤー矯正では、ブラケットとワイヤーを結紮する際に、細いワイヤーを使用します。もちろん、来院時に唇や頬の粘膜に引っかからないような形態にしています。
しかし、食事や歯磨きなどがきっかけで、ワイヤーの先端が粘膜を傷つけてしまうことがあります。マウスピースであれば、ワイヤーが粘膜に刺さって痛いといった不快症状はありません。
⑤会食も問題なし
食事の前にマウスピースを取り外すため、会食時には、治療前と同様の状態でお食事や会話を楽しむことができます。
ワイヤー矯正では、装置の隙間に食物残渣が挟まり、不潔な印象を与えてしまうのでは・・と会食を避けがちですが、マウスピース矯正はその心配がありません。
⑥隅々まで磨ける
マウスピースを取り外せば、治療前と同様に歯の隅々まで磨くことができます。
口腔内の衛生状態が装置によって阻害されないため、う蝕(虫歯)リスクを下げることができます。
マウスピース矯正の6つのデメリット
従来の歯列矯正のデメリットを補う形で誕生したマウスピース矯正にも、いくつかデメリットはあります。
①装着時間の自己管理
装着時間が不足すると、シミュレーション通りに歯の移動が起こらず、治療効果が出ないというリスクがあります。
②推奨装着時間が20時間以上
装着時間は製品にもよりますが、1日20時間以上が推奨されているものがほとんどです。食事や、歯磨き時以外は常の装着していただく前提です。
数日、装着を忘れてしまうと歯が後戻りしてしまい、マウスピースがスムーズに入らない・・といった不具合が起こることがあります。
③装着したまま飲食できない
マウスピースを装着したままの飲食は厳禁です。マウスピースの変色の他、装着したまま飲食をすると、雑菌が発生する可能性があります。
④対象症例が限られる
マウスピース矯正も様々な症例に採用され、多くの治療実績を積んでいますが、まだワイヤー矯正と比べると症例数は少ないのが現状です。
そのためマウスピース矯正では、叢生(凸凹の歯並び)の程度や抜歯の有無によって、対応できない症例があります。
⑤歯が動くことによる痛み
矯正治療で歯を移動させようと矯正力を歯に加えると、動かしたい方向の骨に圧力が加わります。この圧力が骨の吸収を促し、歯を移動させます。骨が吸収されるときに、発痛物質という痛みの原因となるものが放出されるため痛みを感じます。
痛みは、歯の動き始めの時期が最も強く、矯正治療が進むと感じにくくなります。なお、発痛物質の放出は数日で治まるため、それに伴い痛みも自然と解消されます。
⑥慣れないうちは滑舌に影響が出ることも
マウスピース矯正で使うマウスピースは、とても薄く作られています。しかし、歯にかなりタイトに密着するように作られています。そのため、きちんと入っていないと隙間が生じて、舌が当たって滑舌が悪くなることもあります。
また、お口の中に何もない状態と比べると、薄いとはいえ異物が入っていることには違いなく、舌が当たるのは避けられません。また異物感から滑舌が悪くなることがありますが、これはマウスピースに慣れれば、自然と解消されます。
ワイヤー矯正との比較
従来の矯正歯科治療の方法であるワイヤー矯正にも、大きく分けて以下の2種類の方法があります。
表側矯正
歯の表側(唇に接する面)にブラケット(ボタン状の装置)とワイヤーを装着します。基本的にあらゆる歯並びに対応可能で、実績の多い治療方法です。
裏側矯正(舌側矯正)
表側矯正と同様に、歯にブラケットとワイヤーの装着を行いますが、装置が目立たないように歯の裏側(舌側)に装着します。治療中の見た目は改善されますが、装置を製作する費用や、歯の移動に必要な期間が表側矯正に比べて多くなります。
ワイヤー矯正のメリットは、マウスピース矯正と比べて多くの症例に対応可能であることです。ご自身の歯並びの状態には、マウスピース矯正とワイヤー矯正のどちらが適しているのか、歯列矯正を多く経験している歯科医師に相談することが成功のポイントです。
【まとめ】マウスピース矯正のメリットとデメリットは?従来からの歯列矯正との違い
マウスピース矯正のメリットとデメリット、ワイヤー矯正との違いを比較しながら解説いたしました。
この記事では、下記のようなことがわかったのではないでしょうか。
ここがポイント!
- マウスピース矯正は、透明で目立たない取り外し可能な、金属不使用な矯正装置(マウスピース)を使用するので、金属アレルギーや粘膜を傷つける心配がなく、う蝕(虫歯)リスクが低い
- マウスピース矯正は、1日20時間の装着、飲食時にマウスピースを外すなどの自己管理、適応症例がワイヤー矯正と比べ少ない、歯の移動時の痛みや滑舌への影響の可能性がある
- ワイヤー矯正には、適応症例が多い表側矯正と高額だが目立たずに矯正を行うことができる裏側矯正がある
見た目やお口の衛生状態の維持には、マウスピース矯正ならではの強みがあります。しかし、装着時間が短くなると治療効果が期待できないことがあります。マウスピース矯正で失敗しないためには、患者さん自身による装置の扱いと管理が重要です。
ご自身の歯並びやライフスタイルにはマウスピース矯正とワイヤー矯正のどちらが適しているか、気になる方はぜひ当院までご相談ください。