表側矯正とは
表側矯正とは、歯の表面(唇側)にブラケットと呼ばれるボタン状の装置を接着し、ワイヤーで結紮することで、歯列に負荷を加えることで歯を移動する歯列矯正です。
表側矯正は、20世紀の初めにはすでに開発された治療で、多くの実績がある治療方法です。現在も最も一般的な歯科矯正治療として、多くの症例に採用されています。
歯列矯正の強みは、多くの症例に適応が可能であることや、仕上がりの満足度が高いことです。
表側矯正はこんな方におすすめ
- 矯正装置が目立つことを了承できる方
- 高い治療効果を実感したい方
- 他院で難症例と言われた方
- 発音に影響を受けたくない方
- 長期間(数年単位)での治療を検討できる方
表側矯正のメリット
表側矯正は、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)など幅広い症例に適用可能な実績の豊富な治療方法です。
適応症例が幅広い
多くの治療実績がある表側矯正は、様々な症例に適応可能です。
上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)の他、歯間離開(すきっ歯)、叢生(ガタガタの歯並び)、八重歯など、あらゆる症状を治療することができます。
抜歯・非抜歯いずれにも対応可能
歯を並べるスペースが不足している場合、抜歯が必要になることがあります。
歯を抜いたスペースは、抜歯した歯の種類にもよりますが、表側矯正の場合、1か月で1㎜程度のスピードで閉鎖します。
高い治療効果
マウスピース矯正や、舌側矯正など様々な歯列矯正の方法がありますが、現在でも最も多く採用されている治療方法は表側矯正です。
表側矯正は、より効果的に歯の移動ができることから、治療完了時の満足度が高い治療と言えます。
汚れが見えやすい
ワイヤー矯正では、歯と装置の間に食渣やプラークの貯留が起こりやすいことがデメリットですが、表側矯正の場合、手間はかかりますが、鏡などで確認しながら清掃することで、より効果的に口腔衛生状態を良好に保つことができます。
発音の違和感が少ない
歯の裏側に装置をつける舌側矯正の場合には、発音の妨げになります。
表側矯正の場合には、舌の動きを邪魔しないため違和感を生じる可能性が低く、話しにくい、もしくは、聞き取りにくい印象を与えることが少ないです。
表側矯正のデメリット
表側矯正にも、いくつかのデメリットがあります。メリットと比較し、ご自身にあった治療方法を選択しましょう。
装置が目立つ
表側矯正では、基本的に金属の装置が付いているため、歯列矯正中であることが見た目でわかりやすいです。また治療期間中は、装置の取り外しができません。
接客などお仕事の都合上、装置が目立つことを避ける必要がある場合には、セラミックブラケットやホワイトワイヤーなどの目立ちづらい白い装置の検討が必要でしょう。
唇が閉じにくい
歯の表面に装置を装着するため、治療開始前よりも唇が閉じにくくなります。
お写真などを撮る際に、装置を目立たないように唇を閉じようとすると、顎先にしわが寄ったように見えることがあります。
口元にボリュームが出る
装置を表側に装着しているため、口元にボリュームが出てしまいます。
装置の厚み分、一時的に、口元が突出したように見えてしまうことがあります。もちろん、治療完了時に取り外すことで改善するのでご安心ください。
装置による粘膜の負傷
ブラケットとワイヤーを結紮することで歯の移動を行います。
調整時にはワイヤーの先が突出し、頬や唇の内側を傷つけないように確認しますが、治療期間中に装置による痛みや違和感、傷や口内炎ができてしまった場合には早めにご相談ください。
装置の汚れが目立つ
表側矯正の場合、装置と歯の隙間に食渣が挟まっている場合、他人の目にふれやすいため、不衛生な印象を与えかねません。特に、野菜や肉などの繊維質が挟まりやすいです。そのため、食後に丁寧なブラッシングが必要です。
表側矯正の適応
叢生(八重歯・乱杭歯)
上顎前突(出っ歯・口ゴボ)
反対咬合 / 下顎前突(受け口)
上下顎前突
開咬(オープンバイト)
交叉咬合
過蓋咬合(深い噛み合わせ)
切端咬合
空隙歯列・正中離開(すきっ歯)
正中の不一致
顎偏位 ※骨格性でないものに限る
過剰歯
萌出遅延・埋伏
捻転歯
転位歯
歯の欠損 / 先天性欠如
ガミースマイル
表側矯正の流れ
歯並びのお悩みによっても異なりますが、表側矯正では年単位の治療が必要です。
不安な点や、ご不明点は診察・相談時に遠慮なく質問しましょう。また治療効果を継続するためにも、保定や定期健診を継続することをお勧めします。
01
診察・相談
診察・相談では、歯並びのお悩みや希望について伺います。場合によっては、抜歯が必要なケースもあるため、お薬の服用などありましたら事前の問診でお伝えいただきます。
02
精密検査
レントゲン撮影、印象採得(歯型取り)、顔貌写真、口腔内写真撮影の採取を行います。
う蝕(虫歯)や歯周病の状態を確認します。
03
診断・治療計画立案
検査結果をもとに、診断を行い、治療計画を立案します。
う蝕や歯周病がある場合には処置を行い、その後に歯列矯正治療へと移行します。
04
動的治療開始
歯の表側に歯列矯正装置を接着し、ワイヤーで歯と歯を結紮することで歯を動かしていきます。
装置の装着後は定期的にご来院して頂き、治療効果の確認、装置の調整を行いながら歯並びを整えていきます。
05
治療完了・保定
歯列矯正が完了し理想的な歯並びになったら、後戻りを防止するために保定期間へと移行します。
保定装置の装着や、数か月単位での定期健診を受診はしっかりと受けるようにしましょう。
表側矯正の料金・費用
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 | モニター価格 |
---|---|---|---|
表側矯正 (メタルブラケット・ メタルワイヤー) |
上顎または 下顎のみ |
770,000円 | |
上下顎 | 990,000円 | ||
処置料(毎回) | 5,500円 | ||
表側部分矯正 | 上下顎 前歯6本 メタルブラケット |
770,000円 | |
精密検査、診断料 | 55,000円 | ||
リテーナー(保定装置) | 片顎 | 55,000円〜66,000円 |
表側矯正オプション
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
ホワイトワイヤー | 上のみ | 55,000円 |
ホワイトワイヤー | 上下 | 110,000円 |
セラミックブラケット | 上のみ | 110,000円 |
セラミックブラケット | 上下 | 220,000円 |
歯列矯正オプション
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
アンカースクリュー | 1本 | 55,000円 |
矯正補助装置 | 片顎1個 | 11,000円 |
MFT(口腔周囲筋筋機能訓練) | 1回 | 5,500円 |
表側矯正のよくある質問
表側矯正では、目立たない装置はありますか?
できるだけ目立ちにくく矯正治療を受けたいというニーズにより、白いセラミックや透明なコンポジットレジンというプラスチックで作られたブラケットが開発されています。
ワイヤーも白くコーティングしたタイプがあり、こうした矯正装置を使うことで、表側矯正も審美的に目立ちにくく治療を進められるようになっています。
表側矯正では、滑舌が悪くなりませんか?
表側矯正では、矯正装置が歯の表側に装着されるため、頬や唇に矯正装置が当たります。このため、言葉を出す際に頬や唇が矯正装置に当たると滑舌も少し悪くなります。
しかし、舌が当たるわけではないので発音に影響が出ることは少なく、1週間前後で慣れる方がほとんどです。
矯正装置が外れてしまった場合、どうすればよいでしょうか?
調整時には、しっかりとワイヤーを含め矯正装置の状態を確認しお帰り頂くのですが、毎日のお食事や歯磨きで装置に力が加わり、一部が外れてしまうといったことが起こりえます。
その場合には当院まで早めにご連絡いただき、ご来院いただきます。そのまま放置していると、治療効果がスムーズに働かないことや粘膜を傷つけてしまうことがあります。
表側矯正は、スポーツや楽器などに制限がありますか?
表側矯正の場合、ボクシング、ラグビー、アメフト、柔道などの接触が多いコンタクトスポーツでは、装置が粘膜を傷つけることが考えられます。必要な場合には、マウスピースの装着で保護することも可能です。
楽器演奏では、主に吹奏楽など唇を楽器に押し当てる必要がある場合、慣れるまで違和感があることがあります。診察時にスポーツや習い事について、事前にご相談ください。
保定期間とは何ですか?
歯列矯正が完了し、理想的な歯並びになった後は保定が必要です。歯列矯正後の歯は元に戻ろうとする力が働くため、後戻りが起こる可能性があります。
保定期間中は、保定装置を装着して定期健診を受診することをお勧めします。保定装置は、目立たないものや夜間のみの装着など、歯列矯正期間中より生活に支障がありません。保定期間は、治療期間と同等~2倍の長さを想定すると良いでしょう。
表側矯正の治療概要
治療方法 | 表側矯正 |
---|---|
治療説明 | 唇側面や頬側面にブラケットを装着するワイヤー矯正法です。エッジワイズ法が現在の主流です。 |
治療費 | 770,000円〜990,000円 |
治療の副作用(リスク) |
・ブラケットとワイヤーによる口腔粘膜の潰瘍形成 ・食事や歯磨きが困難 ・破損時の対応が困難 ・審美的に目立つことが避けられない ・治療後の後戻りのリスク |
適応症例 |
・永久歯列の不正咬合 ・上顎前突症 ・下顎前突症 ・叢生 ・開咬 ・空隙歯列 ・過蓋咬合 ・交叉咬合 ・顎変形症 ・唇顎口蓋裂 |
ダウンタイム | なし |
不適応の症例 | 基本的になし |