ワイヤー矯正とは
ワイヤー矯正は、現在も歯列矯正の主流です。歯の表面にブラケットと呼ばれるボタン状の装置を一時的に接着し、歯と歯をワイヤーで結紮することで、歯を移動していきます。
上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、八重歯、歯間離開(すきっ歯)など様々な症例に有効です。歯並びの一部を治す部分矯正から、歯列全体を治す全顎矯正まで対応することが可能な実績のある治療方法です。
ワイヤー矯正はこんな方におすすめ
- 治療期間はかかっても、確実に歯並びを整えていきたい方
- 重度の歯列不正であると診断された方
- 多くの実績のある治療を受けたい方
- 治療期間中の歯列矯正装置の装着を了承できる方
ワイヤー矯正の種類
ワイヤー矯正では、歯の表面、裏面のいずれか装置をつける面によって、見た目や治療期間、費用が異なります。
表側矯正
表側矯正
表側矯正とは、歯の表面に歯列矯正装置を装着する治療方法です。
ワイヤー矯正の大半が現在も表側矯正です。そのため、豊富な治療実績がありますが、歯の表側に装置が付いているため、見た目に歯列矯正中であることがわかりやすいです。
裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正(舌側矯正)
歯の裏側を舌側(ぜっそく)と呼ぶため、裏側矯正は舌側矯正とも呼ばれています。歯の裏側に、ブラケットとワイヤーを装着し歯を移動していきます。
歯列矯正中であることが分かりにくいですが、表側矯正と比べると未だ実績が少ないと言えます。
ワイヤー矯正のメリット
ワイヤー矯正は、治療実績のある効果的な治療方法です。治療の適応範囲も広く、様々な症例を治療することができます。
多くの治療実績
ワイヤー矯正は、1900年代から行われている実績のある治療方法です。 今後は、マウスピース矯正の増加も見込まれますが、現状の歯列矯正の主流はワイヤー矯正です。ワイヤー矯正は豊富な治療実績からエビデンスの取れた治療であるといえます。
治療効果
ワイヤー矯正では、歯に装置を固定することで、力が加わり歯を移動します。歯科医院に来院された調整時以外には、装置を取り外すことがないため、歯の移動が効果的に起こることが期待できます。
抜歯症例
抜歯が必要な症例の場合には、マウスピース矯正の種類によっては対応できないことがあります。ワイヤー矯正であれば、抜歯したスペースを活用して、きれいに歯を並べることが可能です。
対応症例の幅
ワイヤー矯正では、一部の歯並びを対象とする部分矯正から、歯列全体を対象とした全顎矯正まで治療することができます。対応する症例も、上顎前突(出っ歯)、叢生(ガタガタした歯並び)、下顎前突(受け口)など多岐にわたります。
難症例でも可能
歯列不正の中でも骨格に原因がある場合には、手術により骨格的なアンバランスを補正してから歯列矯正を行うことがあります。その場合には、上下の顎のバランスを考慮し、ワイヤー矯正が選択されます。
ワイヤー矯正のデメリット
ワイヤー矯正といえば、目立つというデメリットはわかりやすいかと思いますが、他にもいくつかのデメリットがあります。
見た目
ワイヤー矯正の場合、特に表側矯正では、歯の表面に装置を取り付けるため、見た目にも矯正治療中であることがわかりやすいです。
ワイヤーの種類や、舌側矯正を選択することで目立たないようにすることが可能です。
痛み
ワイヤー矯正では、歯にブラケットと呼ばれるボタン状の装置を接着し、ブラケットとワイヤーを結紮することで、弱い力を加えて移動していく仕組みです。
調整当日、翌日をピークに痛みがある場合がありますが、徐々に消退していきます。
粘膜の負傷
ワイヤー矯正では、ワイヤーの先が粘膜に刺さらないように確認しますが、毎日の歯磨きやお食事により、ワイヤーの先が歯面から飛び出てしまうことがあります。その場合、粘膜に刺さり、小さな傷ができることがあります。
清掃の難しさ
ワイヤーは固定式のため、ご自分で取り外すことができません。特に小さなブラケットとワイヤーの隙間には、食べ物が詰まりやすいです。
清掃不良になると歯周病やう蝕(虫歯)のリスクが高まります。歯周病やう蝕(虫歯)になると、矯正治療の中断も選択となることも少なくなく、治療で失敗しないためには念入りなブラッシングが必要です。
食事制限
大半のものはこれまで通りに食べることができますが、キャラメルやガム、もち、といった粘着性の高い食べ物は、ワイヤーについてしまうことがあるためお勧めできません。無理に取り外そうとすると、装置の破損につながることがあります。
ワイヤー矯正の症例
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:反対咬合
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:反対咬合
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:反対咬合
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:上顎前突
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:上顎前突
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:上顎前突
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:過蓋咬合
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:下顎前突
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:開咬
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:正中離開
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:叢生
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:叢生
治療名:ワイヤー矯正 / 症例:舌側転位
ワイヤー矯正の適応
叢生(八重歯・乱杭歯)
上顎前突(出っ歯・口ゴボ)
反対咬合 / 下顎前突(受け口)
上下顎前突
開咬(オープンバイト)
交叉咬合
過蓋咬合(深い噛み合わせ)
切端咬合
空隙歯列・正中離開(すきっ歯)
正中の不一致
顎偏位 ※骨格性でないものに限る
過剰歯
萌出遅延・埋伏
捻転歯
転位歯
歯の欠損 / 先天性欠如
ガミースマイル
ワイヤー矯正の流れ
歯列矯正の治療では基本的に、診察・相談→検査→矯正治療(動的治療)→保定という流れが一般的です。ワイヤー矯正の場合、装置の交換のため、月に1、2回ご来院いただいて、装置の調整や治療効果の確認、歯面清掃を行います。
01
診察・相談
診察・相談時に、患者様が気になっている歯並び、ご希望について伺います。大まかな治療計画や詳細な値段や治療にかかる費用についてご説明いたします。
02
精密検査
う蝕(虫歯)や歯周病の状態を確認し、必要があれば適宜治療を行います。印象採得(歯型取り)、レントゲン撮影、口腔内写真など資料採取を行います。
03
動的治療開始
歯面にブラケットを接着し、ワイヤーと結紮することで弱い力をかけていきます。装置は、ご自分では取り外しができませんので、不具合がご相談ください。
04
調整・経過確認
月に1~2回程度ご来院していただき、治療効果の確認、装置の交換を行います。装置交換に合わせて歯面清掃を行い、口腔衛生の維持に努めます。
05
治療完了・保定
治療が完了し、歯並びが理想的な状態になったら、後戻りを防止する保定期間へと移行します。保定期間中も定期的な通院や、保定装置の装着が必要です。
ワイヤー矯正の料金・費用
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 | モニター価格 |
---|---|---|---|
表側矯正 (メタルブラケット・メタルワイヤー) |
上顎または下顎のみ | 770,000円 | |
上下顎 | 990,000円 | ||
処置料(毎回) | 5,500円 | ||
裏側矯正 (リンガルブラケット) |
ハーフリンガル (上顎:舌側、下顎:表側) |
1,430,000円 | |
上下顎 | 1,650,000円 | ||
処置料(毎回) | 7,700円 | ||
リンガル(裏側)部分矯正 | 片顎前歯6本 | 770,000円 | |
ハーフリンガル (上顎:舌側、下顎:表側) |
1,210,000円 | ||
表側部分矯正 | 上下顎前歯6本 メタルブラケット |
770,000円 | |
精密検査、診断料 | – | 55,000円 | |
リテーナー(保定装置) | 片顎 | 55,000円〜66,000円 |
表側矯正オプション
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
ホワイトワイヤー | 上のみ | 55,000円 |
ホワイトワイヤー | 上下 | 110,000円 |
セラミックブラケット | 上のみ | 110,000円 |
セラミックブラケット | 上下 | 220,000円 |
歯列矯正オプション
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
アンカースクリュー | 1本 | 55,000円 |
矯正補助装置 | 片顎1個 | 11,000円 |
MFT(口腔周囲筋筋機能訓練) | 1回 | 5,500円 |
ワイヤー矯正のよくある質問
ワイヤー矯正は痛いと聞きました。どのような痛みですか?
ワイヤー矯正では、歯を移動するために継続して弱い力を負荷している状態です。そのため、装置の交換直後~2日目くらいまでは、噛み合わせると痛い、歯が浮いたような感じといった印象を受ける患者様がいらっしゃいます。2日目以降には、徐々に消退していくのでご安心ください。
ワイヤー矯正では、前歯だけの歯並びを治すことはできますか?
ワイヤー矯正も、前歯部だけの部分矯正はできます。ワイヤー矯正は、多くの前歯部の歯列不正に対応しているのが利点です。
ワイヤー矯正の装置を目立たなくすることはできますか?
ワイヤー矯正は、矯正装置が目立ってしまうという難点がありましたが、特に目立つのがブラケットという歯の表面についた矯正装置です。
近年、透明もしくは歯の色に近い審美性の高いブラケットが開発され、金属製のブラケットと同じくらいの性能を持つに至っています。このような矯正装置を使うことで、目立ちにくくワイヤー矯正を受けていただくことができます。
ワイヤー矯正は虫歯になりやすいのでしょうか?
確かに、ワイヤー矯正は矯正装置の取り外しができないため、磨き残しが起こりやすくなります。
装置の交換時には、PMTCといって専用の機器による歯面清掃を行っています。また、通常の歯ブラシの他にタフトブラシや歯間ブラシ、デンタルリンスといったオーラルケアグッズの併用により清掃効率を上げることが可能です。
歯並びがきれいになることは、将来的な歯周病や虫歯のリスクを減少させることもできます。
ワイヤー矯正は金属アレルギーがある場合には不向きでしょうか?
歯科治療に関連する金属アレルギーでは、ニッケル(Ni)やクロム(Cr)といった金属が原因になります。
金属アレルギーがある場合には、ワイヤー矯正ではなくマウスピース矯正をお勧めする場合もありますが、セラミックやチタンによる治療が可能な場合もありますので、診察時にご相談ください。
奥歯にインプラントが入っているのですが、ワイヤー矯正はできますか?
通常、歯根の周りには歯根膜という組織があります。歯根膜は、骨を作るサイクルに関連するため、歯の移動には重要な役割を果たします。
インプラントの場合、この歯根膜がないため、歯の移動ができません。
歯並びのお悩みにもよりますが、部分矯正などの場合には、ワイヤー矯正が可能な場合もあります。詳しくは、精密検査と歯科医師の診断が必要です。
ワイヤー矯正の治療概要
治療方法 | ワイヤー矯正 |
---|---|
治療説明 | 歯面に装着したブラケットを通して、ワイヤーの弾性を利用して歯を移動させる矯正治療法です。ほぼ全ての不正咬合に対応できます。 |
治療費 | 770,000円〜1,650,000円 |
治療の副作用(リスク) |
・ブラケットとワイヤーによる口腔粘膜の潰瘍形成 ・食事や歯磨きが困難 ・破損時の対応が困難 ・審美的に目立つことが避けられない ・治療後の後戻りのリスク |
適応症例 |
・永久歯列の不正咬合 ・上顎前突症 ・下顎前突症 ・叢生 ・開咬 ・空隙歯列 ・過蓋咬合 ・交叉咬合 ・顎変形症 ・唇顎口蓋裂 |
ダウンタイム | なし |
不適応の症例 | 基本的になし |