歯列矯正とは
歯列矯正とは、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)、叢生(ガタガタの歯並び)など、口元のお悩みを、矯正装置により改善する歯科治療のことです。
単に、見た目の美しさだけではなく、咬む・話すといったお口の機能の向上を大切に行うことが成功の鍵です。歯がきれいに並ぶことで、歯磨きの清掃効率が上がり、う蝕(虫歯)や歯周病予防にも効果があります。
もちろん、見た目の改善により、口元や笑顔に自信を持つことができることから、心の健康にもメリットがあります。
歯列矯正の目的
歯列矯正は見た目だけでなく、お口をより機能的に、健康的に維持することに効果があります。
見た目の改善
出っ歯や受け口といった噛み合わせの異常は、見た目のコンプレックスの原因になることがあります。
会話や笑顔に自信が持てず、コミュニケーションに消極的になり、心の健康にマイナスの要素になってしまいます。
口腔機能の向上
お口は、咬む・話す・噛みしめるといった様々な機能があります。
歯並びや咬み合わせが適切でない場合、食事に時間がかかる、滑舌が悪い、一部の歯に噛みしめの負担がかかるといったお口の機能を十分に発揮できないことがあります。
う蝕・歯周病の予防
叢生の場合、歯と歯が重なり合った部分の歯ブラシが難しくなります。
上顎前突や下顎前突の場合には、唇を閉じることが難しく、開口状態が多くなります。結果として、う蝕や歯周病、口臭の原因になりかねません。
当院の歯列矯正の種類
当院では、患者様それぞれの状態にあった歯列矯正の方法を提案しています。前歯だけの部分的な矯正から全顎矯正、歯の位置を大きく動かしたいなど、さまざまな症例に対応いたします。また、お子様から成人まで幅広い年代の患者様が来院されています。
マウスピース矯正
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、近年希望される患者様が増加している治療方法の1つです。取り外しのできるマウスピースをステップごとに交換し、治療を進めていきます。
マウスピース矯正に代表されるインビザラインは、セミナーを受講し、研修を行った歯科医師のみが治療を提供できるシステムです。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、歯面にブラケットと呼ばれるボタン状の器具を付けて、ワイヤーで結紮することで、歯を移動していきます。
矯正装置が目立つというデメリットがありますが、幅広い症例に効果があります。
部分矯正
部分矯正
部分矯正は、前歯部の乱杭歯や真ん中の隙間、出っ歯、受け口など、部分的な歯列の乱れを短期間で改善する目的で行います。
当院では、ワイヤー矯正やマウスピース矯正、MTM矯正、セラミック矯正などの中から、患者様に最適な治療法をご提案いたします。
小児矯正
小児矯正
小児矯正は、指しゃぶりなどの習癖の除去から始まり、成長する力を利用しながら、歯がはえるスペースや、上下顎のバランスを正常に導いていきます。
成人になってからの歯列矯正が不要となることや、必要な場合も手術や抜歯をせずに済むことが期待できます。
成人の歯科矯正の適応
叢生(八重歯 ・乱杭歯) |
上顎前突 (出っ歯・ 口ゴボ) |
反対咬合 / 下顎前突 (受け口) |
上下顎前突 | 開咬(オープン バイト) |
交叉咬合 | 過蓋咬合(深い 噛み合わせ) |
切端咬合 | 空隙歯列・ 正中離開 (すきっ歯) |
正中の不一致 | 顎偏位 | 過剰歯 | 萌出遅延 ・埋伏 |
捻転歯 | 転位歯 | 歯の着色・変色 | 歯の欠け | 歯の欠損 / 先天性欠如 |
歯茎の黒ずみ (メタル タトゥー) |
ガミースマイル | |
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歯列不正 イメージ |
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マウスピース 矯正 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 ※骨格性で ないものに 限る |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | – | – | 〇 | – | 〇 |
ワイヤー矯正 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 ※骨格性で ないものに 限る |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | – | – | 〇 | – | 〇 |
部分矯正 | 〇 | 〇 ※軽症 |
〇 ※軽症 |
〇 ※軽症 |
〇 ※軽症 |
〇 ※軽症 |
〇 ※軽症 |
〇 ※軽症 |
〇 | 〇 ※軽症 |
〇 ※軽症 |
– | – | 〇 | 〇 | – | – | – | – | – |
セラミック 矯正 |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 ※骨格性で ないものに 限る |
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
歯列矯正のよくある質問
治療期間が短い歯列矯正はありますか?
気になっているのが前歯部の歯並びだけという方は、前歯部の部分矯正にすると歯並び全体を整えないので、治療期間を短くすることができます。
部分矯正で対応できないときは、インプラントアンカーを埋め込むインプラント矯正にすれば、奥歯を効率的に移動させられるので、治療期間を抑えることができます。
矯正装置が目立たない歯列矯正はありますか?
ワイヤーやブラケットを使わないマウスピース矯正なら、透明で薄いマウスピースだけで治療するので、見た目で装着していることがほとんどわかりません。
また、ワイヤーやブラケットを歯の裏側につける裏側矯正も、目立ちにくく歯並びをきれいに整えられます。
歯列矯正は痛いと聞きましたが、どういった痛みですか?
歯列矯正は、ワイヤー矯正、マウスピース矯正ともに、歯を移動する痛みが発生します。痛みの感じ方は人によって変わりますが、マウスピース矯正はご自身で装置を取り外すことができる点でコントロールしやすいと言えます。
ワイヤー矯正の場合、治療開始直後、来院して調整した当日~翌日の痛みは、咬み合わせただけでも痛いことがあります。治療が進むにつれて、痛みは小さくなっていきます。ワイヤーが唇の裏や頬にひっかかって痛みが発生することもありますので、その場合には早めに来院し調整することをお勧めします。
歯列矯正すると顔に変化は出ますか?
例えば、出っ歯の方の歯並びを整えると、口元の突出感がなくなります。受け口も同じです。このように、歯並びが整えられると口元の感じが変わりますから、お顔にも変化が現れます。
ただ、全ての矯正治療で顔に変化が出るわけではなく、軽度な叢生(乱杭歯)や正中離開(前歯の隙間)などであれば、お顔に変化は出ないでしょう。
保定は必ず必要になるのでしょうか?
矯正治療終了直後の歯並びは、必ず元の状態に戻ろうとする性質があります。これを防ぐのがリテーナー(保定装置)を使った保定です。矯正治療が終わってから一定期間、保定していなければ後戻りを防ぐことはできません。
きれいに整えた歯並びを保つためにも、保定は非常に重要です。
歯周病がある場合には、治療ができないのでしょうか?
歯周病治療は、お口の健康状態のためにも早期に治療を開始することをお勧めします。歯周病が軽度であれば、歯列矯正と同じタイミングで開始することができますが、基本的に歯肉や顎の骨の状態を改善してからの方がより効果的です。
矯正治療中は歯磨きが難しくなることがありますので、歯周病のリスクが高くなる時期です。上手なブラッシングをご説明いたしますので、ご自宅でも継続してください。
大人と子供の矯正は何が違うのですか?
大人と子供の矯正治療の一番の違いは、成長を利用できるかどうかです。
子供の矯正治療では成長発育を利用できるので、歯並びを悪くさせる骨格そのものの形を整えることができます。
一方、大人の矯正治療では成長発育が終わっているので、外科手術以外の方法で骨格を変えることはできません。
他院で矯正治療中でしたが、引っ越しで通うことができなくなりました。治療を継続してもらえますか?
歯列矯正は年単位の時間が必要となることが多いです。遠方でどうしても通院が不可能な場合には、前医院の先生にご相談の上、紹介状や検査データなどの情報をご持参ください。
特に、歯列矯正の治療は、歯科医師によって提案する治療方法が異なる場合もある点をご理解いただけますようお願いいたします。
歯列矯正は医療費控除が適用されますか?
国税庁では、噛み合わせを整えるため、発音をしやすくするための矯正治療などの治療費については、医療費控除を認めています。
その一方、見た目の改善を重視した矯正治療は医療費控除の対象とは認めていません。
歯列矯正 (歯科矯正)の治療概要
治療方法 | 歯列矯正 (歯科矯正) |
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治療説明 | 歯列矯正とは、歯列や咬合を整えることで、咀嚼機能を充実させ、咀嚼器官の健康と口許の審美的調和を獲得する治療です。 |
治療費 | 286,000円〜1,540,000円 |
治療の副作用(リスク) |
・治療中は食事・会話・歯磨きなどに影響が出る ・治療後の後戻りのリスク |
適応症例 |
・上顎前突症 ・下顎前突症 ・叢生 ・開咬 ・空隙歯列 ・過蓋咬合 ・交叉咬合 |
ダウンタイム | なし |
不適応の症例 |
・マウスピース矯正では顎変形症や唇顎口蓋裂 ・ワイヤー矯正では基本的になし |