ラミネートベニアとは
ラミネートベニアは、歯の形態や色調を改善することに優れた審美歯科治療の1つです。
ホワイトニングでは改善できない強い色調の改善や、軽度な前歯の歯並び修正にも有効です。わずかな歯と歯の隙間や、外傷により歯が欠けてしまった部分を補うなど、自然で美しい口もとを作ることができます。
具体的な治療内容としては、歯をエナメル質の範囲内で薄く切削し、ネイルチップ様のセラミックを合着します。セラミックは、色調の再現性に優れ、天然歯に類似したツヤや透明感を付与することに優れているため、とても自然な印象に仕上がります。
治療回数も最短2回で完了するため、忙しい方にもおすすめの治療法です。
ラミネートベニアはこんな方におすすめ
- 歯の色と形態を一緒に治したい方
- 治療回数を少なく白い歯になりたい方
- 歯列矯正以外で歯の隙間を閉じたい方
- 外傷などで歯の先端が少し欠けてしまった方
- 矮小歯(小さな歯)が目立つ方
ラミネートベニアのメリット
ラミネートベニアは、セラミックの特徴を活かした審美性の高い治療です。
治療完了直後の見た目の美しさの他にも、予後や治療回数など様々なメリットがあります。
ホワイトニングより白くできる
ホワイトニングは、ご自身の歯の色を薬剤で徐々に漂白していきます。ラミネートベニアの場合は、理想的な白さをラミネートチップの色合いで再現するため、最短2回で、ホワイトニングでは到達できない白さに改善することも可能です。
色調の後戻りがない
セラミックの特性として、安定性の高い素材のため、経年変化による変色がありません。後戻りしてしまうホワイトニングと比べると、治療完了直後と大差ない色調を維持することができるといえます。
治療中の痛みがない
切削する範囲は、歯の最表面にあるエナメル質の範囲です。削る量も少なく、切削にかかる時間も短時間です。基本的には疼痛が起こらない範囲内での処置のため、麻酔も必要ありません。
色調と形態を同時に治せる
ホワイトニング単独の場合には、歯間離開(すきっ歯)や歯の捻転といった軽度の歯並びや、歯冠破折といった切縁の欠けを治すことはできません。ラミネートベニアでは、同じ形態を整えながら歯を白くできます。
ラミネートベニアのデメリット
ラミネートベニアは、色調や、軽度の歯並び、歯の形態の改善に優れた治療方法ですが、デメリットもいくつか挙げることができます。デメリットについて、十分な理解をした上で、後悔のない治療を選択することが大切です。
天然歯を切削する
セラミックチップを合着するスペースを作るため、歯を薄く切削します。歯は一度削るともとの状態に戻ることはありません。合着すると、ご自身で取り外すことはできないため、不具合があった場合には、再治療が必要となります。
自費診療
ラミネートベニアは、費用負担が虫歯治療などと比べると高額です。また、ホワイトニング1回あたりと比較した場合も、高額になりますが、ホワイトニングと比べて色調の後戻りがない点はコストパフォーマンスが良いといえます。
治療に向かないケースがある
ラミネートベニアをする予定の歯に大きな虫歯がある場合は、ラミネートベニアができません。また、ラミネートベニアは薄い素材のため、咬み合わせによっては、割れてしまうリスクがあり、適応できないケースがあります。
亀裂や破折するリスクがある
セラミックは、衝撃に弱いことがデメリットとして挙げられます。もちろん、設計時点で、十分に留意して製作するのですが、外傷や、食事中にグラスをぶつけるなどの行為で亀裂や破折が起こることがあります。
ラミネートベニアの種類(形態)
ラミネートベニアは、前歯の唇面(表側の面)の色合いと形を改善するために貼り付ける薄いセラミックカバーで、3タイプあります。
フルラミネートベニア
前歯部の唇面全体を覆うラミネートベニアです。前歯の唇側のエナメル質を全面にわたり0.3〜0.5㎜ほど削合し、セラミックカバーを接着します。
接着面積が広く取れるので外れにくく、色合いや形を合わせやすいのが利点です。
パーシャルラミネートベニア
前歯部の唇面に部分的に施すラミネートベニアです。歯を部分的にしか削らないのが利点ですが、ベニア以外の場所の色に合わせる必要があり、歯の色の選択肢が狭いのが難点です。
正中離開(すきっ歯)や外傷などによる部分的な歯の欠けなどの治療に適しています。
ノンプレップベニア
ノンプレップベニアは、歯を削らずに、エナメル質に直接被せるラミネートベニアです。
歯を削らないので、歯を傷めることがありませんし、外せば元の状態に回復できるのが利点です。
一方、歯を削らないため、ベニアに厚みが出やすいという難点があります。
ラミネートベニアの材質
ラミネートベニアに用いるセラミック材料は、現在、e-maxとジルコニアセラミックが主流となっています。
e-max(イーマックス)
e-maxは、ガラス系のセラミック材料です。ガラス系なので光の透過性や強度が高いのが利点です。
反面、透明度が高いので歯の内部の色が透けてしまうリスクがあり、濃い変色歯の色合いの改善には適していません。
ジルコニアセラミック
ジルコニアは、人工ダイヤモンドとも呼ばれるセラミック材料です。とても強度が高いのが利点です。
本物の歯に近い光透過性や色合いが利点で、e-maxでは難しい変色歯であっても、ジルコニアなら自然な色合いに改善できます。
ラミネートベニアの症例
治療名:ラミネートベニア、歯肉整形 / 症例:歯の色・形態、ガミースマイル / 治療本数:4本 / 治療期間1か月程度 / 通院回数:2回
治療名:ラミネートベニア、歯肉整形 / 症例:歯の色・形態、ガミースマイル / 治療本数:6本 / 治療期間:1か月程度 / 通院回数:2回
ラミネートベニアの適応
歯列不正 / 不正咬合 ※軽度症例
空隙歯列・正中離開(すきっ歯)
歯の着色・変色(嗜好品・加齢)
失活歯(神経が死んだ歯)
テトラサイクリン歯
歯の欠け
虫歯
ラミネートベニアの流れ
ラミネートベニアの治療方法の流れをご説明いたします。
最短で2回の治療回数で終了するため、短期間で完了することができます。1回目は歯を削って型取り、2回目には、完成したセラミックチップを合着して完成です。
01
診察・相談と検査
まずは口の状態を確認するため、虫歯がないかなど検査を行います。その上で、患者様のご希望をお伺いして治療方法をご提案いたします。
02
形成(歯を削る)
歯の最表面にあるエナメル質の範囲で1㎜以下の切削量です。痛みがないので、麻酔は基本的に必要ありません。
03
印象採得(歯型取り)
歯を削ったら、セラミックチップを作るため、模型製作が必要です。歯型をとって、仮歯を付けたら初回の治療が終了です。
04
調整・合着
2回目の来院時に、完成したセラミックチップの調整を行い、セメントで合着します。問題がなければここで治療は完了です。
05
メインテナンス
ラミネートベニアに亀裂や破折が起きていないか、2次カリエスになっていないかなど、定期的なメインテナンスをすることで、良好な予後が期待できます。
ラミネートベニアの料金・費用
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 | モニター価格 |
---|---|---|---|
e-max(イーマックス) | 1本 | 129,800円 | |
ジルコニアセラミック | 1本 | 129,800円 | |
e-max(イーマックス)または ジルコニアセラミック |
4本セット | 519,200円 | 440,000円 |
6本セット | 778,800円 | 605,000円 |
ラミネートベニアのよくある質問
ラミネートベニアの寿命はどのくらいでしょうか?
ラミネートベニアに使うポーセレンは、噛み合わせないようにしてあるため、10〜20年ほどの寿命があります。
ところが、ラミネートベニアの接着剤はそうではなく、唾液に少しずつ溶け出します。早ければ、数年で剥がれてしまうこともあります。
ラミネートベニアをしたら口臭が出ることはありますか?
ポーセレンなど、セラミック系の材料はプラークが付着しにくく、とても衛生的です。このため、ラミネートベニア自体から臭いを発するようなことはありません。
ただし、歯磨きがしっかりとできていないと歯肉が腫れることがあり、そこから臭いが出ることはあります。
ホワイトニングでは白くならない歯は、ラミネートベニアなら白くできるのでしょうか?
ラミネートベニアでは、ホワイトニングでは白くできない歯の色調を改善することが可能です。
テトラサイクリン歯と呼ばれる抗生物質による帯状の変色やう蝕(虫歯)による変色は、ホワイトニングでは効果がありません。そのような場合には、ラミネートベニアがお勧めです。
ラミネートベニアは剥がれやすいでしょうか?
ラミネートベニアが剥がれてしまう原因として、設定のミスがあると思われます。
セラミックチップのスペースを設定するには、上下に咬み合うほかに側方に力がかかることも考慮しなくてはなりません。また、ラミネートベニアが難症例の場合には、仮歯期間に十分な評価をする必要があります。
前歯の隙間はラミネートベニアで治すことができますか?
歯と歯の間に隙間がある状態を歯間離開と呼びます。隙間の幅が3㎜以上の場合には、ラミネートベニアよりもセラミッククラウンがよい場合もあります。適応については歯科医師の診断が必要です。
ラミネートベニア治療の完了後に気を付けることはありますか?
通常の生活で問題ありません。もちろん、転倒などで歯を強打しないこと、グラスなどで思いがけずぶつけないことなどに気を付けてください。
ラミネートベニアは、上下に咬む動きには対応できますが、引っ張る動きには弱いです。そのため食事では、フランスパンのような噛んで引きちぎるような食べ方をする際には注意が必要です。
ラミネートべニアの治療概要
治療方法 | ラミネートべニア |
---|---|
治療説明 | 前歯の唇側面の色調と形態を改善させるために、各個調整した薄いセラミックを接着する治療法です。 |
治療費 | 129,800円〜778,800円 |
治療の副作用(リスク) |
・脱離するリスクがある ・破損するリスクがある ・神経治療や抜歯が必要となる可能性がある ・歯を削合する |
適応症例 |
・翼状捻転 ・正中離開 ・エナメル質形成不全症 ・歯牙フッ素症などの変色歯 ・矮小歯や栓状歯などの歯の形態異常 |
ダウンタイム | なし |
不適応の症例 |
・支台歯の著しい捻転や傾斜、位置異常 ・残存歯質が健全歯の6割未満の症例 ・エナメル質が大きく欠損している症例 ・咬合力が加わる部位 ・齲蝕歯 |