ガミースマイルとは
ガミースマイルの「gummyガミー」とは、歯茎のことです。
ガミースマイルとは、笑った時に歯茎が過度に露出する状態をいいます。
基本的には、ニコッと歯を見せる笑顔になった際にも、歯茎は見えませんが、ガミースマイルの場合は、上の歯茎が目立ってしまいます。
口元の表情は繊細なため、わずかな幅ですが3ミリ以上の歯茎が見える場合、ガミースマイルの状態である可能性があります。
ガミースマイルは、お顔の表情に影響するため、見た目に自信が持てないというコンプレックスになりかねません。
ガミースマイルの症状3分類
ガミースマイルは、笑ったときの上口唇の位置（リップライン）によってロースマイル・アベレージスマイル・ハイスマイルの3つに分類されています。
ロースマイル（低位微笑）
ロースマイルは、笑ったときのリップラインが上顎の前歯に重なる状態です。ロースマイルでは歯肉は全く露出せず、前歯の一部しか見えません。
ロースマイルは低位微笑とも呼ばれ、アメリカでの報告によると人口のおよそ20％がこれに当てはまるとされています。
アベレージスマイル（平均的微笑）
アベレージスマイルは、笑ったときのリップラインが、上顎の前歯の歯肉の縁から1〜3㎜ほど上になります。笑ったときに上顎前歯の歯肉が少し見える状態です。
アメリカでの報告によると、人口の70%ほどがアベレージスマイルと言われています。このため、アベレージスマイルは、平均的微笑とも呼ばれます。
ハイスマイル（高位微笑）
ハイスマイルは、笑ったときのリップラインが、上顎の前歯の歯肉の縁から3㎜以上、上方になっている状態です。
ハイスマイルは高位微笑とも呼ばれ、この状態がガミースマイルとされ、治療対象になっています。
ガミースマイルの原因
一言でガミースマイルといっても、人によって原因が異なります。
原因によって、有効な治療方法も変わってきます。
歯茎の幅
歯は歯茎と歯槽骨によって支えられています。
ガミースマイルの場合、歯冠（歯茎より上の見えている部分）を覆う歯茎の幅が多いため、歯の見える面積が小さくなり、相対的に歯茎が目立ってしまうことがあります。
歯並びの不正
歯が理想的な位置に並んでいないため、歯茎が目立つ場合があります。
特に上の犬歯（前から3番目）の歯が、並ぶスペースがないため、八重歯のように歯茎の上方から生えている場合などは、歯茎が目立つことがあります。
出っ歯
上の前歯が目立つ「出っ歯」にも様々な原因があります。
特に上下の顎の位置関係に由来する上顎前突症の場合には、上顎が前方に突出していることから、歯茎が目立つことがあります。
口周りの筋肉
口周りには複数の筋肉があり、それぞれの働きを担っています。
特にガミースマイルに影響するのは、上唇挙筋といって唇を引き上げる働きをする筋肉です。ガミースマイルの場合、上唇挙筋の働きが強すぎる可能性があります。
ガミースマイルのデメリットとリスク
ガミースマイルといえば、見た目の問題が有名ですが、歯や歯茎などお口全体の健康にもリスクがあります。
審美性・見た目
最近は、口元にボリュームがあることを、「口ボゴ」と形容することがあるようです。
ガミースマイルも口ボゴの一要因となるため、口元の見た目に自信が持てず、コミュニケーションに消極的になる可能性があります。
口呼吸
上顎前突など、口唇を閉じることが難しい場合には、口呼吸の癖がある方がいらっしゃいます。
口呼吸では、口呼吸線といって、歯茎に色調の境界ができてしまい、歯茎の露出により余計に目立つ可能性があります。
虫歯や歯周病
歯茎が露出するスペースが大きいため、外気に触れることで歯茎が乾燥しやすくなっています。結果として、口腔内の唾液量が減少し、虫歯や歯周病のリスクが上がる可能性があります。
口臭
ガミースマイルのために口腔乾燥が起こりやすい場合には、口臭が発生する要因にもつながります。唾液には、自浄作用（洗い流す働き）や抗菌作用（菌の繁殖を防ぐ働き）があるためです。
ガミースマイル治療はこんな方におすすめ
- 大きく笑った時に見え過ぎる歯茎を抑えたい方
- 口元の表情に自信を持ちたい方
- 自然な歯を見せた笑顔になりたい方
- 口ゴボを治したい方
- 歯茎の影響で歯が小さく見える方
- 歯茎の露出により歯茎が乾いてしまう方
当院のガミースマイル治療
当院では、患者様それぞれのガミースマイルの状況にあった治療法を提案しております。原因にあった治療方法選択し、治療効果を高めることが大切です。
歯肉整形
歯肉整形とは、電気メスやレーザーにより、歯を覆っている歯茎を切除する方法です。
歯茎を切除し、歯が見えるスペースを多くすることで、口元から除く歯茎の露出を目立たなくします。2～3ミリ程度の切除が可能です。
ボトックス注射
ボトックス療法とは、美容外科領域の他、眼科領域でも使用されているボツリヌス毒素製剤による治療方法です。
ボトックス注射により、ガミースマイルの場合には、上唇の動きを制限することで、歯茎の露出量を抑えることができます。
永久的な治療ではないため、効果は半年程度で、効果を維持するためには定期的な注入が必要です。
インプラント矯正（歯列矯正）
インプラント矯正は、インプラントアンカーという小さなスクリューを顎に設置し、そこを固定源として歯を移動させる矯正治療法です。
上顎の前歯の位置異常に原因のあるガミースマイルに適応があります。
上顎の前歯を後ろや上方に向かって動かすことで、ガミースマイルの改善を図ります。
インプラント矯正でガミースマイルを治療すると、歯列不正も同時に改善できるのが利点です。一方、矯正治療のため、治療期間が2〜3年と長い点が難点です。
セラミック矯正
セラミック矯正は、上顎の前歯にセラミッククラウンを装着し、歯冠の形や大きさ、向きを整える治療法です。
歯肉が増殖し、歯冠が歯肉に覆われることで生じたガミースマイルに適応があります。
歯肉を切除し、セラミッククラウンを装着することで歯冠の長さを拡大して、ガミースマイルの改善を図ります。
治療期間が短いのが利点ですが、歯を削らなければならないのが難点です。
その他のガミースマイル治療
歯肉整形やボトックス注射以外にも、ガミースマイルの原因に応じたさまざまな治療法が開発されています。
口唇粘膜切除術
口唇粘膜切除術は、上口唇の裏側の粘膜と歯肉を切除し、両者を縫い合わせることで、上口唇の動きを少なくしてガミースマイルの改善を図る治療法です。
上口唇の動く範囲が上に広すぎることによって生じるガミースマイルに適応があります。
手術時間は短く、傷跡も目立ちにくいのが利点ですが、術後に上口唇のツッパリ感などが出る、後戻りを起こすことがあるなどの難点もあります。
上唇挙筋切除術
上唇挙筋切除術は、上唇挙筋を切除して上口唇が過度に上に上がらないようにすることで、ガミースマイルの改善を図ります。
上口唇が上がりすぎることで生じるガミースマイルに適応があります。
お口の中を切開するため、傷跡が目立ちにくい上に比較的手術法が簡単なのが利点です。一方、手術後にどれだけ上口唇が上がるのかが予測しにくいのが難点です。
耳介軟骨移植術
耳介軟骨移植術は、耳の裏側から軟骨を採取し、鼻と上口唇の間に移植する手術法です。
上口唇の上方への動きを抑えることで、ガミースマイルの改善を図ります。
移植する際には鼻の穴に切開を加えるため、傷跡が目立ちにくいうえ、後戻りを起こしにくい点が優れています。
手術は30〜60分程度で、一度の治療で終了するのも耳介軟骨移植術の利点です。
歯槽骨切除術
歯槽骨切除術は、歯の周囲の歯槽骨という骨を部分的に切除し、歯の長さを大きくすることで、ガミースマイルの改善を図る治療法です。
上顎の前歯が生えきってなく、歯の縁が広く歯肉に覆われているガミースマイルの治療に適応があります。
局所麻酔でできる30〜60分程度の手術なため、1日で終わるのが利点です。
歯肉弁根尖側移動術
歯肉弁根尖側移動術は、過剰に増殖した歯肉を切開し、歯肉の先端部分を低い位置に移動させて縫合することで、ガミースマイルの改善を図る治療法です。
歯肉の増殖によるガミースマイルの改善に適応があります。
局所麻酔でできる手術で、手術時間はおおむね60分程度です。
ガミースマイル治療のほか、歯周病治療、歯肉に隠れた虫歯がある場合の虫歯治療などにも応用されています。
外科矯正手術
上顎の骨格にガミースマイルの原因がある場合に選ばれるのが外科矯正手術です。
外科矯正手術は、上顎骨全体を移動させるルフォーⅠ型骨切り術と上顎骨の前歯部だけを移動させる上顎前歯部歯槽骨骨切り術の2種類があります。上顎骨の骨格の状態によって、適切な方法を選びます。
いずれの手術も、入院の上、全身麻酔下で行われる手術です。
ガミースマイル治療の料金・費用
| メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 | モニター価格 |
|---|---|---|---|
| 歯肉整形 | 片顎1〜3本 不揃いな歯肉の高さ修正 |
55,000円 | 44,000円 |
| 片顎4〜6本 前歯のみの軽度のガミースマイル改善 |
77,000円 | ||
| 片顎7〜10本 横顔も含めた広範囲のガミースマイル改善 |
110,000円 | 99,000円 | |
| ボツリヌストキシン注入 | ニューロノックス 1回全体 | 16,500円 | |
| ボトックス 1回全体 | 33,000円 | 22,000円 |
ガミースマイル治療のよくある質問
粘膜を切除する治療はどのような治療でしょうか？
粘膜を切除するガミースマイル治療は、上唇粘膜切除術という処置です。
上口唇の内側の粘膜をメスで切開すると同時に、歯の付け根付近の歯肉の一部を帯状に切除します。
メスで切開した上口唇と切除した部分を縫合してくっつけることで、上口唇が動く範囲を狭くしてガミースマイルを改善させます。
施術後に後戻りしないガミースマイル治療はありますか？
ガミースマイル治療の多くは、後戻りのリスクがあります。
後戻りを起こしにくい治療法としては、歯肉切除術と組み合わせたセラミッククラウンやポーセレンラミネートベニアを使ったクラウンレングスニングが挙げられます。
歯を削らなくてはならないのですが、後戻りのリスクはほとんどありません。
ガミースマイルは遺伝するのでしょうか？
ガミースマイルの原因は単独ではなく、さまざま原因が複合的に作用して生じます。
歯並びや歯の形、顎の骨の骨格などは遺伝的な影響を強く受けますが、これ以外の原因である上口唇の過大な動き幅や歯肉増殖などは、遺伝的な影響がほとんどありません。
したがって、親がガミースマイルだからと言って、一概に子供にそれが遺伝するとは考えにくいです。
子供のガミースマイルも改善できますか？
子供のガミースマイルは、歯の生え方に原因があることが多いです。そのため子供のガミースマイルは、歯列矯正で改善を図ります。
上顎骨の過度な成長が認められれば、ヘッドギアという矯正器具を使うこともあります。
ガミースマイルのボトックス療法は、口元に違和感が出ることはないですか？
ボトックス治療直後の1週間程度は、筋肉の働きが抑えられていることに慣れないため、違和感を感じることがあります。しかし、徐々に馴染んでいくため次第に気にならなくなります。
歯茎と出っ歯を同時に治す方法はありますか？
お口の状態にもよりますが、前歯の軽度の傾斜とガミースマイルがある場合には、歯肉整形とセラミック矯正を併用で改善が期待できます。
ガミースマイル治療の治療概要
| 治療方法 | ガミースマイル治療 |
|---|---|
| 治療説明 | 歯肉の切除またはボツリヌストキシンによる上口唇の筋弛緩作用によって牽引を抑制することで、ガミースマイルを改善する処置です。 |
| 治療費 | 16,500円〜93,500円 |
| 治療の副作用（リスク） | ・治療による |
| 適応症例 | ・ガミースマイル |
| ダウンタイム | 治療による |
| 不適応の症例 | ・治療による |
