ガムピーリングとは
歯肉に含まれるメラニン形成細胞で産生されたメラニンが、歯肉の細胞層の最も下部である基底細胞に沈着することで生じた色素沈着を、歯肉メラニン色素沈着といいます。
歯肉メラニン色素沈着は、前歯部の歯の周囲の歯肉、すなわち付着歯肉に発生しやすく、淡褐色から黒褐色の歯肉の変色を認めます。
前歯部歯肉の着色は審美的に目立つため、歯肉の色調を改善させることを目的に行われるのがガムピーリングという治療です。
ガムピーリングの治療法はいくつかありますが、当院では中でもよく行われているフェノールという薬剤を使ったフェノール・アルコール法という治療法を用いております。
ガムピーリングはこんな方におすすめ
- 笑ったときに黒ずんだ歯肉が見えるのが気になる方
- 日常的に口呼吸になっており、歯肉が黒ずんでいる方
- 喫煙者、もしくは家族に喫煙者がいる方
- 日焼けなどで、歯茎が黒くなった方
- ホワイトニングを受けて歯と黒ずんだ歯肉のコントラストが大きくなった方
ガムピーリングのメリット
ガムピーリングでは、歯肉メラニン色素沈着症を改善させ、ピンク色の健康的な歯茎を目指します。
即効性が高い
ガムピーリングの方法は、フェノールを使った薬物治療以外にレーザー治療がありますが、レーザー治療は一回で効果を得るのは難しく、何度か繰り返す必要があります。
一方、フェノールを使ったガムピーリングは一回で大半の症例で変色の改善が期待できるほど即効性が高い利点があります。
痛みがほとんど生じない
フェノールを使ったガムピーリングの治療では、治療中、痛みを感じることがほとんどありません。表面麻酔だけで疼痛コントロールが十分得られます。
治療後、数日間ヒリヒリとすることがありますが、鎮痛剤を服用しなくても改善してくる場合が大半です。
回復が早い
ガムピーリングは、古くなった上皮が新しい上皮に置き換えられるターンオーバーという生理現象を利用した歯肉変色の改善法です。
フェノールの効果でターンオーバーを促進して歯肉変色を改善させますので、回復が早く、1週間ほどできれいな色調を取り戻せます。
安全性が高い
フェノールを用いたガムピーリングが開発されてから70年ほど経過しています。
そのため、術式も確立しており、問題点もほぼ洗い出されて改善されているため、安全性が高い処置といえます。
ガムピーリングのデメリット
歯肉メラニン色素沈着症をガムピーリングにて改善する場合、下記のようなデメリットが考えられます。
治療後数日間ヒリヒリする
ガムピーリングを受けてから数日ほどの間、患部がヒリヒリとした軽い痛みや違和感を感じることがあります。ほとんどの場合は、自然に治癒しますので経過観察となります。
薬物アレルギーがあると禁忌
ガムピーリングに用いるフェノールやアルコールなどの薬剤にアレルギー反応を示す方は、ガムピーリングを受けていただくことができません。
歯肉退縮のリスクがある
綿球を使ってフェノールを塗布しますが、フェノールは液体なので、症状によっては塗布範囲のコントロールが難しいことがあります。 もし患部の歯肉が薄い場合、歯肉退縮を引き起こすことがあります。
金属による歯肉変色は適応外
装着した金属補綴物から溶出した金属イオンによる歯肉変色、メタルコアを削合した際に歯肉に入り込んだ微細な金属片など、金属補綴物などに由来する歯肉変色は、薬剤を用いたガムピーリングでは改善させるのは難しいです。
ガムピーリングの流れ
ガムピーリングでは、フェノールやアルコールを歯肉の黒ずみに作用させて治療していきます。
01
診察・相談
治療に先立ち、どのような点が気になっているのか、生活習慣に症状に関係することはないのかなどを問診し、治療法について説明します。
02
口腔内検査と診断
色素沈着を症状とする病気は、歯肉メラニン色素沈着症だけではないので、歯肉メラニン色素沈着なのかどうか、ガムピーリングに適応があるのかどうかを検査・診断します。
03
術前処置
患部をオキシドールやイソジンなどにより消毒し、表面麻酔を行います。次いで、薬剤が患部以外の歯肉に接触しないように、コットンロールなどを用いて保護します。
04
フェノールの塗布
歯肉に90%フェノールを小綿球で塗布して20〜30秒間放置します。このとき、フェノールを塗布された部分の歯肉が白く変色します。
05
アルコールによる中和と水洗
99%アルコールの小綿球を使って、20〜30秒間中和します。中和が終わったのち、十分水洗します。これを2〜3回繰り返します。
06
経過観察
1週間ほどのちに経過観察を行います。多くの場合、この時点で歯肉の黒ずみが除去され、色調は審美的に健康的なピンク色になっています。
ガムピーリングの料金・費用
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
ガムピーリング | 上下 | 49,500円 |
ガムピーリングのよくある質問
歯周病があってもガムピーリングは受けられますか?
歯肉メラニン色素沈着症を生じた部位に歯周病を認める場合は、ガムピーリングを行う前に歯周病治療を受け、歯周病を治療しておかなければなりません。
タバコを吸うのですが、歯茎の黒ずみと関係ありますか?
喫煙すると、ニコチンによって歯肉のメラニン形成細胞が刺激され、メラニンの産生が促進されるため、メラニン色素沈着を生じやすくなります。
受動喫煙でも同様の傾向がみられ、親が喫煙者の場合、子供にも歯肉メラニン色素沈着症が発症します。
ガムピーリングの施術後にみられる、歯茎の白い膜は剥がしても大丈夫ですか?
施術後にみられる歯茎の白い膜は、無理に剥がさないようにしてください。自然になくなってきますので、そのままにしてください。
ガムピーリングの治療後は、食べ物や飲み物に注意点はありませんか?
ガムピーリングの治療を受けてから数日の間は、辛いものや熱いものなど、刺激の強い食べ物はなるべく控えるようにしてください。
ガムピーリングの治療後は、どのように歯磨きをすればいいですか?
ガムピーリングの治療後は、歯ブラシが治療した歯肉に当たらないようにしていただければ、普通に歯を磨いていただいて大丈夫です。
ガムピーリングの治療概要
治療方法 | ガムピーリング |
---|---|
治療説明 | フェノールとアルコールを交互に作用させて歯肉メラニン色素沈着症を改善させる処置です。 |
治療費 | 49,500円 |
治療の副作用(リスク) |
・原因を解消しなければ再発する ・フェノールによる健常歯肉の障害 ・歯肉退縮 ・薬物誤飲 |
適応症例 |
・喫煙による歯肉着色 ・口呼吸による歯肉着色 ・口腔乾燥による歯肉着色 ・紫外線による歯肉着色 |
ダウンタイム | 術後数日程度の灼熱感や疼痛 |
不適応の症例 |
・色素性母斑 ・悪性黒色腫 ・Adisson病 ・Albright症候群 |