セラミック矯正とは
前歯の矮小歯や叢生(デコボコ)には、セラミック矯正が有効です。
セラミック矯正とは、ご自身の歯を削りセラミックのクラウン(被せ物)をセットすることで歯並びを矯正する治療方法です。場合によっては、ブリッジや連結冠を複数歯にセットする場合もあります。
セラミックは、色調や透明度の再現性に優れています。セラミック矯正を行うことで、口元により自然な美しさを再現することが可能です。
歯列矯正といえば、ワイヤー矯正やマウスピース矯正がありますが、セラミック矯正の場合には、これら2つの方法と異なり、歯の移動がありません。そのため、矯正学の分野ではなく、審美歯科治療における補綴治療の1種です。
セラミック矯正はこんな方におすすめ
- 歯と歯の間に隙間が目立つまたは歯が小さい場合
- 歯のねじれ、出っ歯、叢生(デコボコ)がある場合
- 矯正装置が目立つのが困る方
- 短期間で治療を終えたい方
- 歯並びとともに歯の色や形も治したい方
- 金属アレルギーがある方
セラミック矯正のメリット
審美性に優れたセラミックによるセラミック矯正には、治療完了後の見た目の改善はもちろんのこと、治療期間の短縮、治療期間中の外見の変化、痛み、費用面と様々なメリットがあります。
治療期間が短い
ワイヤー矯正やマウスピース矯正の場合、年単位での治療期間を想定します。
その反面、セラミック矯正の場合には、治療する歯数や口腔状態によって異なりますが、最短で1か月以内に治療を完了することが可能です。
歯並び・歯の色・歯の形状を同時に改善
セラミック矯正は、歯並びだけでなく、歯の色合いや歯の形も同時に改善できるというメリットがあります。これらは、一般的な歯列矯正では得られない、セラミック矯正だけの利点です。
歯並び治療中であることがわかりにくい
外見上、ワイヤーやマウスピースといった矯正装置の装着が難しい場合であっても、セラミック矯正の場合には問題がありません。
最終的なクラウンをセットするまでの期間は、審美性に優れたテックとよばれる仮の歯を装着します。
痛みがない
支台歯が生活歯(神経が生きている歯)の場合、歯を切削する際には、局所麻酔による除痛を行います。
ワイヤー矯正の場合、装置を交換した当日は、ご帰宅後も歯が咬み合うと痛みがありますが、セラミック矯正は、治療中もご帰宅後も痛みはありません。
費用負担が少ない
セラミック矯正も審美歯科治療のため、健康保険は適用できません。通院毎にかかる再診料も全額自己負担です。
しかし、同じく自費診療の治療であるワイヤー矯正やマウスピース矯正と比べると、通院回数や期間が短いことから、トータルの費用負担は安価であるといえます。
セラミック矯正のデメリット
審美性に優れたセラミック矯正にもデメリットがあります。
ご自身の歯を切削するため、一度治療をすると元通りの天然歯の状態に戻すことができません。治療を選択する前にデメリットについても理解することが、治療で失敗して後悔しないためには重要です。
天然歯を切削する
天然歯は一度削ると再生することはありません。
切削することで歯の最表面から歯髄までの距離が近くなり、う蝕(虫歯)になった場合には、より歯髄まで到達しやすくなります。失活歯(神経が失活した歯)の場合には、より破折のリスクが高くなります。
2次カリエスのリスク
セラミック矯正では、支台歯にクラウンをセットします。
クラウンは、セメントで合着しますが、セメントの経年劣化によりクラウンと支台歯との間に隙間ができてきます。その隙間から、う蝕になることを2次カリエスと呼びます。
抜髄が必要なケース
矮小歯の場合や、歯軸の傾斜の程度によっては、形成量を確保するため、抜髄(神経を除去する処置)を行うことがあります。失活歯は生活歯に比べて、歯根破折のリスクが高いことが分かっています。
メインテナンスが必要
セラミック矯正の治療完了後は、定期的なメインテナンスが必要です。
定期健診やクリーニングを行わないと、セラミッククラウンの予後が不良になり、再治療が必要です。再治療時には、初回とほぼ同額の費用負担が必要です。
セラミック矯正の症例
治療名:セラミック矯正 / 症例:受け口、咬合不全 / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯8本、下前歯6本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:古い差し歯 / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯11本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:八重歯、叢生、歯の着色 / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯8本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:八重歯、叢生、出っ歯/ 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯6本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:虫歯、古い差し歯、メタルタトゥー、歯の着色 / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯6本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:過蓋咬合、古い差し歯、メタルタトゥー、歯の着色、ガミースマイル / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯6本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:出っ歯、叢生 / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯8本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:出っ歯、テトラサイクリン歯 / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯6本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:歯が大きさ、歯の着色、ガミースマイル / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯10本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
治療名:セラミック矯正 / 症例:すきっ歯、歯の着色 / 素材:ジルコニアセラミック / 治療本数:上前歯6本 / 治療期間:2か月程度 / 通院回数:3回
セラミック矯正の適応
歯列不正 / 不正咬合
空隙歯列・正中離開(すきっ歯)
歯の着色・変色(嗜好品・加齢)
失活歯(神経が死んだ歯)
テトラサイクリン歯
歯の欠け
歯の欠損 / 先天性欠如
歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)
ガミースマイル ※歯肉整形と併用時
虫歯
セラミック矯正の流れ
セラミック矯正は、歯並びとともに、歯の形態や色調を併せて治療することのできる審美性の高い治療です。患者様のお口の状態や治療内容によって、治療期間や通院回数が異なりますが、治療期間は1か月から2か月程度の想定です。
01
診察・相談・検査
まずは、口腔内診査により、う蝕や歯周病の有無、歯のシェード(色調)を確認して女性歯科医師が診断いたします。また患者様のご希望を伺い、最適な治療方法を提案いたします。
02
支台歯形成
麻酔を施したうえで土台となる歯を切削し、セラミッククラウンをセットするスペースを確保します。生活歯の場合には、局所麻酔により治療中の不快感を減少させます。
03
印象採得
セラミッククラウンを製作するため、印象採得(型取り)を行います。3Dスキャナーによって撮影する場合と、印象材とトレーを使う方法があります。
04
仮歯のセット
支台歯形成を行った後、仮歯をセットします。仮歯は、治療中の見た目の改善の他に、最終的にセットするクラウンの形態や咬合などの参考になります。
05
セラミック歯のセット
完成したセラミッククラウンの支台歯への適合や、色調、形態を確認しセメントで合着します。
セラミック矯正の料金・費用
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 | モニター価格 |
---|---|---|---|
オールセラミック(前歯) | 1本 | 110,000円 | |
4本 | 440,000円 | ||
6本 | 660,000円 | ||
ジルコニアセラミック(前歯) | 1本 | 143,000円 | |
4本 | 514,800円 | 473,000円 | |
6本 | 729,300円 | 660,000円 | |
プレミアムナチュラルセラミック(前歯) | 1本 | 176,000円 | |
4本 | 633,600円 | ||
6本 | 897,600円 | ||
メタルボンド | 1本 | 165,000円 |
- ※モニターの詳細と応募方法は、こちらからご確認いただけます。
- ※プレミアムナチュラルセラミックでは、審美歯科技工士が必要に応じて立ち合い、グラデーションや先端の透明感、自然色、極端な白など好きな色が選べます。
- ※フルオーダーセラミックでは、審美歯科技工士が必要作業工程に全てに立ち合い、グラデーションや先端の透明感、自然色、極端な白など好きな色が選べます。また、セラミック治療にかかる費用は全て含まれているため、追加費用がかかりません。
オーダーメイドオプション
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
カラーデザイン
※技工物のグラデーション、透明感など、質感を患者様が納得いくまで指定可能。 |
1本 | 55,000円 |
形状デザイン
※技工物の形状を患者様が納得いくまで指定可能。 |
1本 | 88,000円 |
セラミック矯正オプション
メニュー名 | 本数・回数・内容 | 価格 |
---|---|---|
セラミック用仮歯 | 1本 | 11,000円 |
土台・芯(コア) | 1本 | 11,000円 |
土台・芯除去 | 1本 | 11,000円 |
抜歯 | 1本 | 11,000円 |
歯根治療(根管治療) | 1本 | 11,000円 |
セラミック矯正のよくある質問
セラミック矯正で噛み合わせは治せますか?
セラミック矯正は、前歯部の歯並びを対象とした歯科矯正です。そのため、奥歯の噛み合わせをセラミック矯正で改善させることは困難です。
奥歯の噛み合わせを治したい場合は、セラミック矯正ではなく、歯を移動させる歯列矯正を選択する形になります。
セラミック矯正で受け口は治せますか?
前歯部の歯の位置や傾きに原因のある受け口の場合は、程度によってはセラミック矯正で改善できることがあります。具体的には、セラミッククラウンにかえて前歯部の歯の傾きを少し変えることで、受け口を改善させます。
顎骨が原因の受け口の場合は、セラミック矯正での改善が難しいことが多く、外科的な処置を選択することが多くなります。
歯を削ってしまうと、歯の寿命は短くなるのでしょうか?
歯は削ると虫歯になるリスクが高くなりますが、削らなくても虫歯にはなります。
たとえ歯を削っても適切にケアすれば、虫歯リスクは大幅に抑えられます。セラミック矯正をした歯の寿命は、治療後のご自身のセルフケアが重要です。
歯を削る時は痛いでしょうか?
神経が生きている歯の場合、歯を削る前に局所麻酔をかけるので、削るときの痛みはほとんどありません。局所麻酔の注射も、注射の前に表面麻酔というジェルタイプの麻酔を使うことで注射の痛みを大幅に減らせます。
また、神経がない歯は麻酔をしなくても痛みを感じることはありません。
前歯の歯並びを治すために保険適応の被せ物で修正することはできますか?
前歯を保険診療で治す場合には、レジン前装冠による治療となります。レジンはセラミックと異なり、吸水性がある素材のため経年変化により黄ばんだ色合いになります。また表面に微細な傷がつきやすいため、プラークの着色が起こりやすいです。
そのため長期的に考えると、セラミックはレジン前装冠に比べて、審美性とともにお口の健康に適していると言えます。
※当院では保険診療は行っておりません。
歯周病でもセラミック矯正はできますか?
歯周病があってもセラミック矯正は可能ですが、セラミック矯正の前に歯周病治療が必要な場合があります。
歯周病の状態を放置したままセラミック矯正を行うと歯自体の予後が悪く、歯肉退縮の結果、クラウンと歯肉の境目が目立つなど、審美性に劣る結果となってしまいます。
セラミック矯正を行いたいと思っていますが、費用が気になります。
セラミック矯正は保険外診療のため、確かに費用がかかります。
当院の場合、必須になるのがセラミッククラウンの技工料、仮歯代です。必要に応じて土台、根管治療などの費用がかかります。
また、これらの費用は保険外診療であることから、提供している歯科医院によって価格が異なります。当院では、診察・相談時に患者様に最適な治療法として、どのような内訳でどれくらいの費用負担が必要なのか、わかりやすく説明することに心がけております。
セラミック矯正後に歯並びが後戻りすることはありますか?
矯正治療で歯が後戻りを起こすのは、移動させた歯が元の位置に戻ろうとするからです。
セラミック矯正では、歯を移動させずにセラミッククラウンで前歯部の歯並びを整えます。このため、セラミック矯正後に歯が後戻りを起こすことはありません。
セラミック矯正の治療概要
治療方法 | セラミック矯正 |
---|---|
治療説明 | 前歯部の歯列不正をセラミッククラウンによって改善させる治療法です。歯を移動させることなくクラウンによって歯列不正を改善するので、補綴矯正ともよばれます。 |
治療費 | 110,000円〜897,600円 |
治療の副作用(リスク) |
・強い咬合力による破損のリスク ・歯軸と歯冠軸の不一致による歯根への負担増大 ・歯肉形態の変化による歯周疾患の発症リスク ・プラークコントロールへの悪影響による齲蝕症や歯周病の発症リスク ・神経治療や抜歯が必要となる可能性がある ・歯を削合する |
適応症例 |
・前歯部の歯列不正 ・上顎前突症 ・下顎前突症 ・切端咬合 ・過蓋咬合 ・空隙歯列 ・叢生 |
ダウンタイム | なし |
不適応の症例 | ・臼歯部の歯列不正 |